予定変更でパニック。いつもと違うを嫌がる子、どうする?
いつも行く公園に行くつもりが雨で行けなくなったというだけでお子さまが激しくパニックになり、泣き叫んで暴れてしまい、何を言っても聞かず、代わりに室内遊び場に行こうと提案しても絶対に嫌だと言う、、、数時間泣き続けてしまうというご相談を、よくいただきます。いつもと違う道を通ると大泣きする、いつもと違う服を着せようとすると拒否する、初めてのレストランには絶対に入らない、予定が変わることやいつもと違うことが一切受け入れられず、家族全員が予定変更できない生活に疲れ果てているという保護者の方が、とても多くいらっしゃいます。
なぜそこまでこだわるのか理解できず、少しの変化くらい受け入れてほしい、このまま融通が利かない人間になってしまうのではないか、小学校で時間割変更やイベント変更があった時にどうなるのかという不安も大きいというお気持ち、本当によく分かります。
予定変更でパニック、いつもと違うを嫌がるという状況は、発達障害のお子さま、特に自閉スペクトラム症のお子さまに非常に多く見られる特性ですが、適切な対応と段階的な練習によって少しずつ柔軟性が育っていきますので、焦らずに進めていくことが大切です。
変化を嫌がる理由
予測可能性への強いニーズ
自閉スペクトラム症の特性として、予測可能であることへの強いニーズがあり、いつもと同じであれば何が起こるか予測でき安心できるため、予測できない変化は大きな不安とストレスになります。
見通しが持てない不安
予定が変わると次に何が起こるか見通しが持てなくなり、見通しが持てないことは非常に不安で、その不安がパニックにつながり、いつも通りであれば見通しが持てるため安心できます。
変化への適応が苦手
脳の特性として変化への適応が苦手で、新しい状況に対応するために必要な情報処理が追いつかず、変化に対応しようとすると脳が過負荷になり、パニックになってしまいます。
こだわりの強さ
特定のやり方、順序、物への強いこだわりがあり、それが守られないと非常に不快で耐えられないため、こだわりが満たされないことが大きなストレスになります。
感覚的な違和感
いつもと違う場所、違う音、違う匂いなど、感覚的な違いを敏感に察知し、その違和感が不快で耐えられないため、感覚過敏があると変化がより苦痛になります。
過去の嫌な経験
予定変更によって嫌なことが起きた経験があると、予定変更=嫌なことが起こるという学習をしてしまい、予定変更自体が恐怖の対象になります。
コントロール感の喪失
いつも通りであれば自分でコントロールできている感覚があるのに、変化が起こると自分ではコントロールできなくなり、コントロールを失う恐怖がパニックを引き起こします。
言葉での説明が理解できない
予定が変わった理由を言葉で説明されても理解できないことがあり、なぜ変わったのか分からない、何が起こるのか分からないという状態が、不安を増幅させます。
家庭でできる変化への対応力を育てる工夫
スケジュールを視覚的に示す
今日の予定を絵カードやスケジュール表で視覚的に示すことで、朝起きたら今日はこれをするよと見せることで、見通しが持て、変更がある時も視覚的に示せば理解しやすくなります。
事前に予定変更を伝える
突然変更するのではなく、できるだけ早く予定変更を伝えることで、今日は雨だから公園に行けないよ、代わりに室内遊び場に行くよと事前に伝え、心の準備ができる時間を作ります。
変更理由を具体的に説明する
なぜ変わったのか具体的に説明することで、雨が降っているから公園は濡れている、だから室内で遊ぶというように、理由を視覚的に示しながら説明すると理解しやすくなります。
代替案を複数提示する
公園に行けない時は、室内遊び場か図書館かショッピングモール、どれがいい?と複数の選択肢を示すことで、自分で選べるという主体性があると、受け入れやすくなります。
小さな変化から慣れさせる
いきなり大きな変更ではなく、小さな変化から慣れさせることで、いつもと違うおやつ、いつもと違う道の一部分など、影響が小さい変化から始め、成功体験を積みます。
変化の予告カードを作る
予定変更の時に使う特別なカードを作ることで、このカードが出たら予定が変わるというサインにすることで、心の準備ができ、視覚的に分かりやすくなります。
ルーティンの中に変化を組み込む
毎日少しだけいつもと違うことをするという習慣を作ることで、火曜日はいつもと違うおやつの日、金曜日は帰り道を変える日など、予定された変化に慣れさせます。
タイマーで心の準備をさせる
予定変更まで時間がある場合、タイマーを使って心の準備をさせることで、あと10分で公園をやめて帰るよとタイマーで示すことで、見通しが持てます。
変化を楽しい経験にする
予定変更が楽しいことにつながる経験を作ることで、公園に行けなかったけど代わりに行った場所が楽しかったという経験を積むことで、変化=悪いことではないと学びます。
ソーシャルストーリーで教える
予定が変わることについてストーリー形式で教えることで、時々予定は変わります、変わっても大丈夫です、新しいことも楽しいですというストーリーで理解を促します。
パニックになったら安全な場所へ
パニックになってしまったら、安全で静かな場所に移動させることで、刺激が少ない落ち着ける場所で、時間をかけて落ち着くのを待ち、無理に説得しません。
感情を受け止める
いつもと違うのが嫌なんだね、不安なんだねと感情を受け止めることで、気持ちを否定せず受け止めてもらえると、少しずつ落ち着けるようになります。
成功体験を積む
小さな変化を受け入れられたら大いに褒めることで、いつもと違う道を通れたね、すごい、予定が変わっても大丈夫だったね、えらいと認めることで、変化を受け入れる力が育ちます。
変化の後の楽しみを用意する
変化を受け入れた後に楽しいことがあるという流れを作ることで、予定変更を受け入れたら好きなおやつ、帰ったら好きな動画を見るなど、頑張った後のご褒美を用意します。
避けられる変化は避ける
無理に変化させる必要がない場面では、いつも通りにしてあげることで、全ての変化を受け入れさせようとすると疲れてしまうため、大事な場面で変化を受け入れる力を温存します。
予測可能な部分を残す
全てを変えるのではなく、一部はいつも通りにすることで、違うレストランに行くけどいつもの飲み物は飲めるよ、違う道を通るけどいつものおやつは食べられるよと、安心材料を残します。
写真や動画で新しい場所を見せる
初めての場所に行く前に、写真や動画で事前に見せることで、どんな場所か分かっていると不安が減り、初めてではなくなるため受け入れやすくなります。
保護者が落ち着いて対応する
保護者が慌てたりイライラしたりすると伝わるため、できるだけ落ち着いて淡々と対応することで、保護者が落ち着いていると子どもも少し安心できます。
無理強いしない
どうしても受け入れられない時は無理強いせず、今日は無理そうだから予定通りにしよう、また今度挑戦しようという柔軟な判断も大切で、無理にやらせると余計に変化が怖くなります。
変化を段階的に増やす
最初は月に1回の小さな変化、次は週に1回、そして毎日少しずつという風に、段階的に変化の頻度を増やすことで、急に増やすと対応できないため、ゆっくり慣れさせます。
専門家に相談するタイミング
日常生活が成り立たない時
予定変更ができないために外出できない、幼稚園のスケジュール変更に対応できず不登園になっている、家族全員が予定変更できない生活で疲弊しているという場合は、専門的な支援が必要です。
パニックが激しく危険な時
予定変更でパニックになり、自傷や他害、物を壊すなどの危険な行動が見られる場合は、早急な対応が必要です。
こだわりが生活全般に広がっている時
予定変更だけでなく、服、食べ物、道順、言葉遣いなど、あらゆることへのこだわりが強く、生活全般が困難になっている場合は、総合的な支援が必要です。
学校生活に大きな支障がある時
時間割変更、教室移動、先生の変更など、学校での変化に全く対応できず、学校生活が送れていない場合は、学校と連携した支援が必要です。
変化に対応できる日は必ず来る
予定変更でパニック、いつもと違うを嫌がるというお悩み、毎日予定変更できない生活に疲れてしまうお気持ち、よく分かります。
でも、知っておいていただきたいのは、変化に対応できる日は必ず来るということです。今は全く受け入れられなくても、段階的な経験と適切なサポートによって、少しずつ柔軟性が育っていきます。
大切なのは、スケジュールを視覚的に示すこと、事前に予定変更を伝えること、変更理由を具体的に説明すること、代替案を複数提示すること、小さな変化から慣れさせること、変化を楽しい経験にすること、感情を受け止めること、成功体験を積むこと、無理強いしないことです。そして何より、お子さまの特性を理解すること、焦らないことです。
変化に対応できるようになると、予定変更が怖くなくなり、新しい経験を楽しめるようになり、家族で柔軟に行動できるようになり、人生の幅が広がります。
焦らないでください。少しずつ、柔軟性を育てていきましょう。今日は小さな変化を受け入れられた、明日は代替案を選べた、来週は予定変更でパニックにならなかった。必ず進歩します。その可能性を信じて、今日から工夫を始めてみましょう。
変化は人生の一部です。すべてを予測することはできません。でも、変化に対応する力は育てることができます。お子さまのペースを尊重しながら、温かく見守りながら、一緒に柔軟性を育てていきましょう。