初めてが怖い。新しい環境に入れない子、どう対応する?
新しい園に入園する時、新しい先生が来た時、初めての友達に会う時など、新しい環境や知らない人に対して、お子さまが極度の不安を感じて、泣いて新しい場所に入れず、保護者がいないと何もできなくなってしまう、新しい経験をする機会を逃してしまっているというご相談をいただくことがあります。人見知りが強く、知らない子が近づいてくると隠れる、話しかけられても返事ができず、友達が作れずに孤立してしまい、学校や園での活動にも参加できず、保護者も新しい環境に連れて行くことが怖くなってしまっているという状況が続いているという保護者の方が、とても多くいらっしゃいます。
なぜそんなに初めてが怖いのか、知らない人が怖いのか理解できず、社交性が育たないのではないか、小学校に入ってから大丈夫なのかという不安も大きいというお気持ち、本当によく分かります。
初めてが怖い、新しい環境に入れない、人見知りが強いという状況は、発達障害のお子さまに非常に多く見られる特性ですが、適切な段階的アプローチによって少しずつ社交性は育っていきますので、焦らずに進めていくことが大切です。
新しい環境が怖い理由
予測不可能な恐怖
新しい環境では何が起こるか分からず、予測ができないため、その不確実性が不安になり、見通しが持てないことが強い恐怖心につながっています。
人見知りの強さ
知らない人との関わりに不安が強く、知らない人が何をするのか、何を言うのか予測できず、知らない人が自分に危害を加えるのではないかという恐怖があります。
環境変化への不適応
新しい場所には新しい音、匂い、物があり、感覚が刺激を受け、感覚過敏があるとその刺激が苦痛になり、新しい環境への適応が困難になります。
社交不安
他者との関わりに対する強い不安があり、自分が何か悪いことをするのではないか、他者に嫌われるのではないかという恐怖が、社交的な場面を避けさせます。
自己肯定感の低さ
自分に自信がなく、新しい環境で上手くできるはずがないと思い込み、失敗することが怖いため、新しい環境に挑戦することができません。
親依存の強さ
親がいないと不安で、親から離れることができず、親が傍にいないと新しい環境に入ることができず、親と一緒でなければ何もできません。
コミュニケーション困難
他者とのコミュニケーションが苦手で、何と話しかけたらいいか分からず、話しかけられても返事ができず、コミュニケーション困難が社交を避けさせます。
過去のトラウマ
新しい環境で嫌なことが起きた、知らない人に何かされた、など過去のトラウマがあり、新しい環境への恐怖が強くなっています。
家庭でできる新しい環境への不安を軽減する工夫
事前に環境について説明する
新しい環境に行く前に、その場所がどんなところか、誰がいるのか、何をするのか、写真や動画を使って事前に説明することで、見通しが持て、不安が軽減されます。
写真や動画で新しい場所を見せる
実際の新しい場所の様子を写真や動画で見せることで、初めての場所ではなく、既に知っている場所という認識になり、不安が減ります。
新しい環境への段階的な慣れ
いきなり新しい環境に放り込むのではなく、短時間の訪問から始める、最初は親が一緒にいるなど、段階的に慣れさせることで、成功体験を積みます。
新しい先生や友達について事前に話す
新しい先生や友達について事前に話し、どんな人か、優しい人だよと伝えることで、知らない人でもある程度のイメージが持て、恐怖が軽減されます。
親が一緒にいる安心感を作る
最初は親が傍にいることで、お子さまが安心できる環境を作ることで、親がいると大丈夫という気持ちから、段階的に親から離れることができるようになります。
新しい環境での成功体験を作る
新しい環境で少しでも上手くいったことを大いに褒めることで、新しい環境でも大丈夫だったという自信が生まれ、次は自分でも何かできるかもしれないという気持ちが育ちます。
不安な気持ちを受け止める
新しい環境が怖いんだね、不安なんだねと感情を受け止めることで、気持ちを否定されず受け止めてもらえると、少しずつ安心できるようになります。
自己肯定感を育てる
普段からお子さまの良さを見つけて褒め、その子の存在そのものを受け入れることで、自分は大丈夫だ、きっと何かできるという自信が生まれ、新しい環境にも挑戦しやすくなります。
友達と遊ぶ機会を作る
新しい友達をいきなり作るのではなく、既に知っている友達との遊びの時間を増やすことで、人間関係を築く経験を積み、人間関係への不安が少し減ります。
ソーシャルスキルを教える
初めての人と会った時の挨拶、会話の始め方など、具体的なソーシャルスキルを教えることで、何をしたらいいか分かると行動しやすくなります。
新しい環境への不安を共有する
お子さまが新しい環境に入る前に、不安なことがあったら教えてねと伝えることで、不安を言葉にして表現できるようになり、保護者も対応しやすくなります。
ご褒美を用意する
新しい環境に行けたら、その後に好きなことをしてもいいよなど、ご褒美を用意することで、頑張る動機になります。
親の不安を示さない
親自身が子どもの不安を心配して不安そうにしていると、それが子どもに伝わり、不安が増幅されるため、親は大丈夫だと思い込み、堂々とした態度を示すことが大切です。
段階的に親から離れる
最初は親が傍にいて、次は見える範囲で少し離れる、次は別室で待つなど、段階的に親から離す練習をすることで、親がいなくても大丈夫という経験を作ります。
新しい先生や友達との関係を作る
園や学校の先生に、お子さまが不安が強いことを伝えて、先生が優しく接してくれるようお願いすることで、先生が味方になると安心できます。
信頼できる大人を増やす
親以外にも信頼できる大人を増やすことで、親以外にも頼れる人がいると気づき、親から少しずつ独立していきます。
新しい環境での小さな成功を記録する
新しい環境で何ができたか、毎日記録することで、小さな成功の積み重ねが見え、成長を実感でき、自信になります。
無理強いしない
どうしても新しい環境に入れない時は無理強いせず、今日は見学だけしよう、明日挑戦しようと柔軟に対応することで、無理にやらせるより、少しずつ挑戦する方が効果的です。
長期的視点を持つ
新しい環境への不安の改善には時間がかかるので、焦らず気長に見守ることで、今この瞬間で全部できなくても、長期的には成長していきます。
専門家に相談するタイミング
社交不安が極度に強い時
新しい環境だけでなく、既に知っている場所でも不安が強く、日常生活に支障が出ている場合は、社交不安障害の可能性があるため、専門的な評価が必要です。
学校に行けなくなっている時
新しい先生や教室への不安から学校に行きたくなくなり、不登校傾向が見られる場合は、早急なサポートが必要です。
パニックが激しい時
新しい環境に直面するとパニックになり、激しく泣く、暴れるなど、危険な行動が見られる場合は、心理的なサポートが必要です。
親の不安が強い時
保護者自身の社交不安が強く、それが子どもに伝わっている場合は、保護者のメンタルケアも含めて相談が必要です。
新しい環境に対応できる日は必ず来る
初めてが怖い、新しい環境に入れないというお悩み、、、毎回新しい環境への不安に付き添い続け、疲れ果ててしまうお気持ち、よく分かります。
でも、知っておいていただきたいのは、新しい環境に対応できる日は必ず来るということです。今は新しい環境が怖くても、段階的なアプローチと時間によって、新しい環境への適応力は育っていきます。
大切なのは、事前に環境について説明すること、写真や動画で見せること、段階的に慣れさせることで、親が一緒にいる安心感を作ることです。そして何より、成功体験を褒めること、不安な気持ちを受け止めることで、自己肯定感を育てることです。
新しい環境に対応できるようになると、新しい経験ができるようになり、友達ができるようになり、学校生活がスムーズになり、人生の可能性が広がります。
焦らないでください。少しずつ、新しい環境への対応力を育てていきましょう。今日は新しい場所を見られた、明日は短時間親と一緒に行った、来週は親から少し離れていられた。必ず進歩します。その可能性を信じて、今日から段階的なアプローチを始めてみましょう。
新しい環境への対応力は人生で最も大切なスキルの一つです。お子さまのペースを尊重しながら、温かく見守りながら、一緒に新しい環境への適応力を育てていきましょう。