レストランで大騒ぎ。公共の場で静かにできない時は?
レストランに入るとお子さまが大声で叫んだり走り回ったりして、何度注意しても静かにできず、周りの人に迷惑をかけて白い目で見られてしまい、結局食事を途中で切り上げて帰ることになる、外食が苦痛で仕方がないというご相談をいただくことがあります。電車の中でも大声で話し続けたり座席で跳ねたりして、図書館では静かにしなさいと言っても聞かずに走り回ってしまい、病院の待合室でも騒いで他の患者さんに迷惑をかけ、公共の場に連れて行くことが恐怖になってしまっているという保護者の方が、とても多くいらっしゃいます。
なぜ静かにしなければいけないか何度説明しても理解してもらえず、他の子は普通に静かにできているのに我が子だけできなくて、周りから冷たい視線を感じて外出するのが怖くなり、このまま公共の場で過ごせないのではないかという不安も大きいというお気持ち、本当によく分かります。
レストランで大騒ぎ、公共の場で静かにできないという状況は、発達障害のお子さまに非常に多く見られる困難ですが、適切な事前準備と段階的な練習によって少しずつ改善していきますので、焦らずに進めていくことが大切です。
公共の場で静かにできない理由
衝動性の強さ
ADHDの特性として衝動性が強く、思ったことをすぐに口に出してしまう、動きたいと思ったら動いてしまうため、静かにしようと思っても体が勝手に動いてしまい、声が出てしまいます。
場に応じた行動が理解できない
図書館では静かにする、レストランでは走らない、電車では大声を出さないという場に応じたルールが理解できておらず、家でできることは公共の場でもできると思っているため、ルールを守れません。
待つことが苦手
レストランで料理が来るまで待つ、病院で順番を待つという待つことが非常に苦手で、待っている間にすることがないと退屈で、退屈を紛らわせるために動いたり声を出したりしてしまいます。
刺激が多すぎる
公共の場には人が多い、音が多い、光が多いなど刺激が多すぎて、感覚過敏があると刺激に圧倒されてパニックになり、落ち着いていられなくなります。
見通しが持てない
いつ終わるのか、あとどれくらい待つのかという見通しが持てないため、不安になって落ち着かず、不安を紛らわせるために動き回ったり声を出したりします。
静かにする意味が理解できない
なぜ静かにしなければいけないのか、騒ぐと何が悪いのかという理由が理解できていないため、静かにする必要性を感じておらず、守る動機がありません。
エネルギーが有り余っている
体力やエネルギーが有り余っており、じっとしていることが苦痛で、動かないとエネルギーを発散できないため、走り回ったり跳ねたりしてしまいます。
注目を引きたい
大声を出したり走ったりすると保護者が反応してくれるため、注目を引く手段として騒いでおり、たとえ叱られたとしても注目されることが目的になっています。
家庭でできる公共マナーを教える工夫
事前に行く場所とルールを説明する
出かける前に、今日はレストランに行くよ、レストランでは静かにするよ、走らないよと具体的に説明することで、絵カードや写真を使って視覚的に示すと理解しやすく、心の準備ができます。
ソーシャルストーリーで教える
公共の場でのマナーをストーリー形式で教えることで、レストランではみんな静かに食べています、大きな声を出すと他の人が困ります、静かにできるといいねというストーリーで、なぜ静かにするのか理解を促します。
家で練習する
家でレストランごっこをして練習することで、椅子に座って静かに食べる、順番を待つという練習を楽しく行い、できたら褒めることで、実際の場面でもできるようになります。
空いている時間帯を選ぶ
混雑している時間帯ではなく、空いている時間帯に行くことで、人が少なければ刺激も少なく落ち着きやすく、多少騒いでも迷惑が少ないため、成功体験を積みやすくなります。
短時間から始める
最初から長時間は無理なので、15分だけレストランにいる、30分だけ図書館にいるという短時間から始めることで、短い時間なら我慢できるようになり、少しずつ時間を延ばしていきます。
待つ間の活動を用意する
待っている間にできることを用意することで、塗り絵、シールブック、静かに遊べるおもちゃ、タブレットで動画など、退屈しない工夫をすることで、静かに過ごせます。
個室や隅の席を選ぶ
可能であれば個室や隅の静かな席を選ぶことで、周りの人が少ない場所だと気が楽になり、多少声が出ても目立たないため、保護者もストレスが減ります。
タイマーで時間を示す
あとどれくらい待つのかタイマーで示すことで、あと5分で料理が来るよ、このタイマーが鳴るまで静かにしようねと見せることで、見通しが持てて我慢しやすくなります。
ご褒美を設定する
静かにできたらご褒美をあげることで、レストランで静かにできたらデザートを食べようね、図書館で静かにできたら公園に行こうねと約束することで、頑張る動機になります。
事前にエネルギーを発散させる
外食の前に公園で遊ばせる、体を動かす時間を作ることで、エネルギーを発散させてから行くと、静かに過ごしやすくなります。
静かにする練習を楽しくする
家で静かにするゲームをすることで、どれだけ静かにできるかな、お口チャックできるかな、とゲーム感覚で練習し、楽しく練習することで抵抗が減ります。
途中で外に出る
どうしても騒いでしまう時は、一度外に出て落ち着かせることで、レストランの外で少し歩く、深呼吸するなど、気持ちをリセットしてから戻ると、また静かにできることがあります。
成功体験を積む
少しでも静かにできたら大いに褒めることで、5分間静かにできたね、すごい、ちゃんと座っていられたね、えらいと認めることで、静かにすることが良いことだと学習します。
視覚的にルールを示す
静かにする、走らないというルールを絵カードで示すことで、×大声を出す、○小さい声で話す、×走る、○歩くというように視覚的に分かりやすく示します。
保護者が手本を見せる
保護者が静かに食事をする、静かに本を読む姿を見せることで、お手本があると真似しやすく、保護者が楽しそうに静かに過ごす姿を見せることが大切です。
失敗しても責めない
うまくできなくても、怒鳴ったり責めたりせず、次はどうすればいいか教えることで、責められると公共の場が嫌いになるため、優しく教え直すことが重要です。
理解のある場所を選ぶ
子ども連れに理解のあるレストラン、キッズスペースがある場所を選ぶことで、多少騒いでも大丈夫な環境だと、保護者も子どももリラックスでき、成功しやすくなります。
少人数で行く
大人数ではなく、まずは保護者と子どもだけで行くことで、人数が少ないと管理しやすく、落ち着いて過ごせることが多くなります。
食事は手早く済ませる
ゆっくり食事を楽しむのではなく、最初は手早く済ませることを優先し、長時間座っていることが苦手なら、さっと食べてさっと帰ることで、失敗を減らせます。
周りの人に事前に伝える
周りの席の人に、発達障害があって騒いでしまうかもしれませんと事前に伝えることで、理解してもらえることもあり、保護者の気持ちも楽になります。
専門家に相談するタイミング
全く公共の場に行けない時
レストランや電車など公共の場に全く連れて行けず、日常生活に大きな支障が出ている場合は、ソーシャルスキルトレーニングなどの専門的な支援が必要です。
パニックが激しい時
公共の場で激しくパニックになり、自傷や他害、物を壊すなどの行動が見られる場合は、早めの相談が必要です。
衝動性が非常に強い時
公共の場だけでなく、家でも学校でも衝動的な行動が多く、日常生活全般で困難がある場合は、ADHDの可能性があるため総合的な支援が必要です。
保護者が外出できなくなっている時
子どもを連れて外出することが怖くて、引きこもりがちになっている場合は、保護者のメンタルケアも含めて相談が必要です。
公共の場で過ごせる日は必ず来る
レストランで大騒ぎ、公共の場で静かにできないというお悩み、周りの冷たい視線を感じて辛いお気持ち、よく分かります。
でも、知っておいていただきたいのは、公共の場で過ごせる日は必ず来るということです。今は騒いでしまっていても、適切な事前準備と練習によって、少しずつできるようになっていきます。
大切なのは、事前に行く場所とルールを説明すること、ソーシャルストーリーで教えること、家で練習すること、空いている時間帯を選ぶこと、短時間から始めること、待つ間の活動を用意すること、成功体験を積むこと、失敗しても責めないことです。そして何より、周りの目を気にしすぎないこと、お子さまのペースを尊重すること、焦らないことです。
公共の場で過ごせるようになると、外食が楽しめるようになり、電車や図書館も利用できるようになります。家族でのお出かけが増え、社会性が育ち、生活の幅が広がります。
焦らないでください。少しずつ、公共マナーを身につけていきましょう。今日は5分静かにできた、明日はレストランで座っていられた、来週は電車で静かにできた。必ず進歩します。その可能性を信じて、今日から工夫を始めてみましょう。
公共の場で過ごすことは、社会生活の基本です。お子さまの特性を理解しながら、温かく見守りながら、一緒に公共マナーを育てていきましょう。そして、周りの人の理解も少しずつ広がっていくことを願っています。