“わざとじゃないのに怒られる”子の気持ち
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“わざとじゃないのに怒られる”子の気持ち

2025年8月11日 更新:2026年5月18日

こんにちは。
子育ての中で、こんな場面に出会ったことはありませんか?

  • おもちゃを投げたので「ダメでしょ!」と叱ったら、本人はキョトンとしていた
  • 友だちを押してしまい、「何してるの!」と注意したら急に泣き出した
  • 何度も同じことを繰り返して、つい強く言ってしまった
  • 返事もしないので「聞いてるの?」と怒ったら、落ち込んで黙り込んだ

大人にとっては「わざとやった」と思える行動でも、
子どもにとっては意図的ではない場合が多々あります。

今回は、“わざとじゃないのに怒られる”子どもの心の中と、
その背景にある発達的な特徴、そして大人ができる関わり方について解説します。


第1章 子どもが“わざと”に見えるのはなぜ?

大人の視点から見て「わざとやっている」と感じる行動には、次のような特徴があります。

✅ 1.何度言ってもやめない

→「またやってる」「わざとじゃないと、こうならないでしょ」

✅ 2.反省していないように見える

→ 注意されても笑っていたり、真顔だったり、謝らなかったり

✅ 3.悪気がないような態度をとる

→「わざとじゃないもん」「知らなかったもん」など、言い訳に聞こえる

ですが、実際には子どもは次のように感じていることがあります。


第2章 “わざとじゃないのに怒られる”子の心の中

✅ (1)「どうして怒られたのか分からない」

→ 行動の結果だけを叱られると、なぜ叱られたのかを理解できないことがあります。

  • 遊んでいただけなのに怒られた
  • 注意されたけど、どこがダメなのか分からない
  • 自分が悪いのか、友だちが嫌だったのかが分からない

✅ (2)「やりたかっただけなのに…」

→ 自分にとって楽しかった行動(走る・触る・大声を出すなど)を止められると、
禁止された=自分が否定されたと感じる子もいます。


✅ (3)「怖い・悲しい・でもどうしていいか分からない」

→ 発達に特性がある子(ASD、ADHD、LDなど)は、感情の理解や表現が苦手なことがあります。

  • 反省していても、顔に出せない
  • パニック状態で泣く・固まる・笑ってしまう
  • 「わざと」と誤解されやすい態度になる

第3章 “わざと”ではなく“つまずき”かもしれない行動の例

✅ 1.注意されても動き続ける

→ 衝動性・注意制御の課題がある可能性(ADHD傾向)

✅ 2.人との距離感がつかめない

→ 社会的スキル(ソーシャルスキル)の未発達、ASD傾向

✅ 3.話を聞いていないように見える

→ 聴覚処理や言語理解の発達段階が関係することも

✅ 4.同じ失敗を何度もする

→ ワーキングメモリ(短期記憶)の弱さや、見通しの持ちにくさ

→ どれも、「わざと」ではなく、“できない・気づけない・理解が間に合っていない”ことが背景にある場合があります。


第4章 「怒る前にできること」3つのステップ

(1)まず“止める”だけにする

→ 危ないときや他人に迷惑がかかるときは、とにかく行動を止めることが優先です。

✅ 声かけ例:

  • 「ストップ!」
  • 「ちょっと待って」
  • 「止まろう」など、短くはっきり伝える

(2)落ち着いたタイミングで“理由を言葉にする”

→ 子どもが落ち着いたときに、何がダメだったか・どうすればよかったかを一緒に振り返ります。

✅ 声かけ例:

  • 「〇〇くんは楽しかったかもしれないけど、お友だちはびっくりしたね」
  • 「次からはこうしてみようか」
  • 「気づかずやってしまうこともあるけど、教えてもらったら直そうね」

(3)“できた行動”を認めて終える

→ 必ず、最後はプラスで終わるように心がけます。

✅ 例:

  • 「最後はちゃんと話せたね」
  • 「ちゃんと止まれたね」
  • 「気づいて直せたね」

→ これが、次の行動変容の土台になります。


第5章 保護者ができる“怒らない関わり”の工夫

✅ 1.ルールを“事前に”伝える

→ 起きる前に伝えておくことで、注意される頻度が減ります。

✅ 2.できなかったことより“できた部分”を言葉にする

→ 「お友だちを押しちゃったけど、そのあと謝れたね」

✅ 3.感情を見える化する(絵カード・表情カードなど)

→ 自分の気持ちや相手の気持ちに気づけるようサポート

✅ 4.失敗を“やり直せる機会”にする

→ 「もう1回やってみようか」が、自己効力感を育てます


最後に:「“わざと”の奥にある“分からない”を見つめよう」

子どもは“悪気がある行動”よりも、
「分からない・どうしたらいいか分からなかった」という気持ちで困っていることが多いのです。

  • 社会性が育つ途中で、うまく立ち回れない
  • 自分の気持ちをコントロールできず、行動に出てしまう
  • でも、どうすればよかったかが分からない

そんな“成長の途中の姿”を、
「ダメな子」として叱るのではなく、
「一緒に学んでいこうね」というまなざしで見守ること。

「わざとじゃないのに怒られる経験」が続くと、
子どもの心には「自分はダメなんだ…」という気持ちが積み重なってしまいます。

だからこそ、“叱る”前に“理解する”を。
大人の一言で、子どもはもっと自分らしく、もっと安心して育っていけるのです。

療育コンサル 中山 のぞみ
D&I株式会社取締役兼療育センター長
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