“ことばが遅い”と言われたとき、親ができること
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“ことばが遅い”と言われたとき、親ができること

2025年8月12日 更新:2026年5月18日

こんにちは。
乳幼児健診や園の先生から、こんな言葉をかけられて不安になったことはありませんか?

  • 「ちょっとことばがゆっくりかもしれませんね」
  • 「発語が少ないように感じます」
  • 「もう少し言葉のやりとりがあるといいですね」

こう言われると、
「うちの子、発達に問題があるのかな?」
「何か努力が足りなかったのかも…」と悩んでしまう方も多いかと思います。

ですが、ことばの発達には個人差がとても大きいのが事実です。
そして、「遅れている=問題がある」とは限らないのです。

今回は、「ことばが遅い」と言われたときに親が知っておきたいこと、
家庭でできるサポートの工夫、そして必要に応じた相談先についてお話しします。


第1章 「ことばが遅い」とはどういうこと?

まず、“ことばが遅い”とは具体的にどのような状態を指すのでしょうか。

✅ 一般的な発語の目安(あくまで目安です)

年齢発達の目安
1歳頃単語(マンマ、ブーブーなど)が1〜2語出る
1歳6ヶ月頃意味のある単語が10語程度
2歳頃2語文(「ママ きた」「ワンワン いた」)が出始める
3歳頃会話のやりとりが可能になり、質問もできるようになる

※この通りでなければ“異常”というわけではありません。
※家庭環境・個人差・性格・気質によって大きく幅があります。


第2章 ことばの発達は“5つの力”の連動で進む

「ことばを話す」ためには、いくつかの能力が関係しています。

✅ 1.聞く力(聴覚)

→ 大人のことばを正しく聞き取れる力

✅ 2.理解する力(言語理解)

→ 言葉の意味をイメージできる力
(例:「りんごって何?」と聞かれて答えられる力)

✅ 3.真似する力(模倣)

→ 音や口の動きを真似できる力
(「バイバイ」や「こんにちは」なども模倣から始まります)

✅ 4.伝えたい気持ち(発信の動機)

→ 自分の気持ちや要求を相手に伝えたいという意欲

✅ 5.口や舌の動き(発音・構音)

→ 発声に必要な筋肉と動きが発達しているか

これらのどこかに負担があると、ことばの発達がゆっくりになる場合があります。


第3章 ことばが遅れて見える子の特徴

ことばがゆっくりな子の中には、次のような特徴が見られることがあります。

  • 指さしやジェスチャーで意思表示をしている
  • 親の言っていることは理解している様子がある
  • 自分のペースで遊びを楽しんでいる
  • 音や声にはよく反応するが、自発的な発語が少ない

これらの様子があれば、ことばの芽は育ちつつあると考えられます。
焦って言葉だけを引き出そうとするよりも、“コミュニケーションの土台”をしっかり育てていくことが大切です。


第4章 家庭でできる!ことばを育てる5つの関わり

✅(1)「一緒に体験して、ことばにする」

→ 絵本や動画だけでなく、実際の体験の中でことばに触れることが、最も効果的です。

✅ 例:

  • お風呂で「あったかいね」「ジャーって出るね」
  • 公園で「すべり台、つるーん!」「ブランコ、ゆらゆら〜」

→ 体験+音+視覚情報が結びつくことで、ことばが記憶に残ります。


✅(2)「短く、ゆっくり、はっきり話す」

→ 大人の話し方が速すぎたり、長すぎたりすると、子どもは処理しきれません。

✅ ポイント:

  • 1文を短くする(例:「クレヨンとって」ではなく「クレヨン。とってね」)
  • 聞き取りやすい速さで
  • 視線を合わせて話す

✅(3)「ことばのシャワー」を浴びせすぎない

→ よかれと思ってたくさん話しかけすぎると、逆に混乱する子もいます。

子どもの反応を見ながら“間”を大切にすることも重要です。


✅(4)「ジェスチャーや表情」を使ってやりとりを楽しむ

→ ことばが出なくても、非言語的コミュニケーションを育てることで土台が強くなります。

✅ 例:

  • バイバイ
  • 手を差し伸べて「どうぞ」
  • 一緒に拍手して「パチパチ」など

✅(5)「子どもの声や発音をオウム返しする」

→ 子どもが「あー」や「うー」など音を出したら、それを真似して返してあげることで、対話のキャッチボールが育ちます。

✅ 例:

子「ば!」
親「ばっ!」
子「ば!」
親「ばばば〜!」

→ ことばのやりとりは、このような音遊びから育っていきます。


第5章 気になるときはどこに相談すればいい?

「やっぱりちょっと気になるかも…」と思ったら、以下の場所で相談できます。

  • 市区町村の発達相談窓口
  • 保健センター(1歳半・3歳児健診時の相談)
  • 小児科医(発達専門医)
  • 療育センター

→ 言葉以外にも、「理解」「表出」「遊び」「視線」「模倣」「感覚」など多面的に評価することで、
その子に合ったサポートが見つかります。


最後に:「ことば」は“育つもの”であって、“教えるもの”ではない

大人がどれだけ「話してごらん」と言っても、
子どもが安心し、理解し、伝えたいと思ったときに、初めて“ことば”は自然にあふれてきます。

焦る気持ちはとてもよく分かります。
でも、ことばは「発達のゴール」ではなく、「心と心をつなぐ道具」です。

まずは、その子のペースを信じて、
“ことばが出る前のコミュニケーション”をたっぷりと育てていくことが何よりの土台になります。

「ことばが遅い」と言われたときこそ、
今ある“声にならない伝えたい気持ち”に耳を傾けてあげてくださいね。

療育コンサル 中山 のぞみ
D&I株式会社取締役兼療育センター長
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