“すぐどこかに行ってしまう”子への声かけと環境づくり
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“すぐどこかに行ってしまう”子への声かけと環境づくり

2025年8月9日 更新:2026年5月18日

こんにちは。
子どもとお出かけしたとき、こんな経験はありませんか?

  • 一瞬目を離したすきに、もう走っていなくなっている
  • 呼んでも戻ってこない、止まらない
  • 公園やスーパーで迷子になることが多い
  • 危ない場所にも平気で近づいてしまう

「危ない!」「なんで勝手に行くの?」と焦ってしまい、
「もしかしてうちの子、落ち着きがないのかな…」と心配になる保護者の方も多いと思います。

でも、子どもが「すぐどこかに行ってしまう」背景には、好奇心や発達の特性、環境の要因が関係している場合もあるのです。

今回は、そんな子どもたちへの安心・安全な関わり方と、家庭でできる工夫について解説します。


第1章 「すぐどこかに行ってしまう」子の特徴とは?

まず最初に、なぜ子どもが勝手にどこかへ行ってしまうのか、その理由を整理してみましょう。

✅ 1.興味があることに一直線!

→ 小さな子どもは、「今、気になるもの」しか見えていません。

  • ピカピカ光るもの
  • 音が鳴るもの
  • 走っている車や動物

→ 目に入った瞬間、すぐに身体が動いてしまうのです。


✅ 2.“見通しを立てる力”が未熟

→ 子どもは、「ここを出たら危ない」「次に何が起こるか」などの予測を立てる力がまだ育ち途中です。

  • 「ママと離れたら迷子になる」
  • 「道路は危ないから行ってはいけない」

→ こういったことは、大人が思っているよりも理解できていないことがあります。


✅ 3.注意がそれやすい(注意転導性)

→ 特にADHD傾向のある子どもは、一つのことに集中し続けるのが難しいため、
途中で気になることがあると、ついそちらに移動してしまうことがあります。


✅ 4.“声かけ”が届いていない

→ 呼びかけに反応しないのは、「無視している」わけではなく、
周囲の音に気づきにくかったり、聴覚処理や注意の特性が関わっていることもあります。


第2章 叱る前に見直したい!NGな声かけと対応

つい焦って言ってしまいがちな声かけが、実は子どもにとっては逆効果になることもあります。

❌ 「勝手に行かないの!」

→ 子どもにとっては、“どこからが勝手なのか”があいまい。

❌ 「もう連れてこないよ!」

→ 不安をあおる言葉は、子どもの行動を改善するよりも、信頼関係を揺るがすリスクがあります。

❌ 「また迷子になったらどうするの!」

→ “また”という言葉は、過去の失敗を思い出させ、自己肯定感を下げる可能性があります。


第3章 家庭でできる!安全・安心につながる5つの工夫

✅(1)「これからどうするか」を視覚で伝える

→ 子どもは“耳で聞くより目で見て理解”する方が得意なことがあります。

  • イラストで予定を伝える
  • お出かけ前に写真や絵で場所を説明する
  • 「3つのルール」を絵カードで共有する

✅(2)「ルールは少なく・明確に」

→ ルールが多いと混乱します。3つ以内で、短く伝えるのがベストです。

✅ 例:

  1. 道では大人と手をつなぐ
  2. 勝手に走らない
  3. 名前を呼ばれたら止まる

→ ポイントは、「できないことを禁止する」のではなく、
「どうすればいいか」を具体的に伝えることです。


✅(3)追いかけず、戻る練習をする

→ 走り出したとき、大人が追いかけると“ゲーム感覚”になってしまう子もいます。

✅ コツ:

  • 普段から「おいで」や「止まって」の練習をする
  • 呼ばれて戻ったら「ありがとう、止まってくれて嬉しいよ」と伝える
  • 時には“戻ること”を遊びに取り入れる(鬼ごっこ形式など)

✅(4)事前に“行動範囲”を確認する

→ 公園や広い場所では、あらかじめ「ここまでOK」の線引きをすることが有効です。

✅ 例:

  • 「あのベンチまでならいいよ」
  • 「お砂場の中だけで遊ぼうね」

→ 自由にしていい“範囲”を明確にすることで、見通しを持ちやすくなります。


✅(5)成功体験を積み重ねる

→ 「今日は勝手にいかなかったね!」「お返事できたね!」と、うまくできた行動を言葉にして伝えることが、自信につながります。

→ 子どもは、「できた!」を繰り返すことで、少しずつルールや安全を学んでいきます。


第4章 それでも心配な場合は?

以下のような特徴が見られる場合には、専門機関への相談を検討してもよいかもしれません。

  • 自宅でも目を離すとどこかへ行ってしまう
  • 呼びかけにまったく反応しない
  • 危険な場所(階段、道路など)に何度も向かう
  • 日常生活の中でも注意が極端にそれやすい
  • 園でも保育士から「目が離せない」と言われる

→ 小児科、発達相談センター、療育機関などでのアセスメントが有効です。
→ ADHDや感覚調整の課題など、行動の背景にある特性が見えてくることもあります。


最後に:「行動」だけでなく「安心できる環境」を一緒に育てる

子どもがすぐどこかへ行ってしまうと、
「困った行動」ばかりに目が向きがちです。

でも、実はそこには、

  • 好奇心の強さ
  • 見通しの立てにくさ
  • 不安定な気持ち
  • 発達的な特徴

など、いろいろな“その子らしさ”が詰まっているのです。

危険を防ぎながら、その子の個性を守って育てるには、
「叱る」よりも「整える」ことが大切です。

環境や声かけの工夫で、子どもは少しずつ落ち着いてきます。
「なんでこんなに目が離せないの?」ではなく、
「どうしたら一緒に安心できるかな?」という視点で、
親子で“安全と自由のちょうどいいバランス”を探していきましょう。

療育コンサル 中山 のぞみ
D&I株式会社取締役兼療育センター長
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