“声が小さい・話さない”子とのコミュニケーション
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“声が小さい・話さない”子とのコミュニケーション

2025年8月6日 更新:2026年5月18日

こんにちは。
お子さんについて、こんなふうに感じたことはありませんか?

  • 家では元気に話すのに、園では全然しゃべらない
  • 初めての人や場所では固まってしまう
  • 話しかけても、小さな声でモゴモゴ…聞き取れない
  • 声を出すこと自体を避けようとしているように見える

「なぜ話さないの?」「声が小さすぎて会話にならない…」
そんなふうに感じると、保護者としても不安になってしまいますよね。

でも、“話さない”背景には、その子なりの理由があります。
そして、適切な理解と関わりで、少しずつ安心して声を出せる環境をつくることができます。

今回は、「声が小さい」「話さない」子どもたちと向き合うためのヒントを、心理・発達の視点からお届けします。


第1章 “話さない”って、どういう状態?

まず、「話さない」という状態には、いくつかの種類があります。

✅ 1.“恥ずかしくて話せない”

  • 初対面や大勢の前で話すのが苦手
  • 視線や注目が怖い
  • 自信のなさから声が小さくなる

→ 環境に慣れてくると、少しずつ話せるようになる子も多いです。


✅ 2.“緘黙(かんもく)傾向”がある

  • 家では話すが、園・学校など特定の場では話さない
  • 話そうとすると身体がこわばったり、無言になってしまう
  • 幼児期から続いており、状況が固定化している

→ 「選択性緘黙」と呼ばれる状態で、**不安やストレス反応として“声が出なくなる”**ことがあります。


✅ 3.“ことばで話すこと自体に苦手さがある”

  • 言葉の処理や表出に困難がある(言語発達の遅れ)
  • 語彙が少なく、会話の組み立てが難しい
  • 他者と視線を合わせたり、やりとりすること自体が難しい(ASD傾向)

→ 「話したくない」のではなく、「話すことが難しい」「どう話していいかわからない」状態です。


第2章 “話さない子”に見られる共通の心のサイン

✅ 1.「間違ったらどうしよう」という不安

→ 正しく話せるか、人からどう見られるかをとても気にしています。
「失敗=恥ずかしい」「変に思われたくない」という思いから、話さないことを選んでいるのです。


✅ 2.「声を出すこと」がストレス

→ 声を出そうとすると、体が固くなったり、動悸がしたりすることも。
まさに“心と体がブレーキをかけている”状態です。


✅ 3.「言葉より、他の方法が得意」

→ 身振りや視線、行動などで意図を伝える子も多くいます。
言葉以外の手段の方が、安心して気持ちを伝えられる場合もあるのです。


第3章 NGな対応:焦らせる・比べる・問い詰める

「話せるようになってほしい」と思うあまり、つい言ってしまいがちな対応が、逆に子どもの不安を強めてしまうことがあります。

❌ よくあるNG対応

  • 「なんでしゃべらないの?」と問い詰める
  • 「○○ちゃんはちゃんと話せるのに」などと比較する
  • 「お返事しなさい」「挨拶しないとダメ」など命令的に迫る
  • 大人同士で「この子、全然話さないのよ」などと話すのを聞かせる

→ これらは、子どもにとって「責められている」「わかってもらえていない」と感じる体験になります。


第4章 家庭でできる“安心感”を育てる関わり方

(1)「話せないこと」を否定しない

→ 「声が出なくても大丈夫だよ」「少しずつでいいよ」と、存在自体を受け入れていることを伝えましょう。


(2)“言葉以外”の伝え方を大切にする

  • うなずき、ジェスチャー、指差し、カードなども立派な表現です。
  • 「そうやって伝えてくれてうれしいよ」と言葉にしてあげると、自己表現への自信につながります。

(3)声の代わりに「サイン」や「合図」を決めておく

→ 「お迎えに来たら手を振ってくれたらOK」など、無理に声を出させないやりとりも有効です。


(4)“成功体験”を積み重ねる

→ 小さな場面で「伝わった!」「認められた!」という経験を重ねることで、「また伝えてみよう」という気持ちが育ちます。


(5)「話せた瞬間」を過剰に褒めすぎない

→ 不安の強い子は、「話せた」ことを大げさに褒められると、次から「また注目されるのが怖い」と感じてしまうことも。
→ さりげなく、「ありがとう、伝えてくれてうれしいよ」と肯定するのがポイントです。


第5章 こんなときは相談を

以下のような様子が続く場合は、専門的なサポートが有効です。

  • 園や学校など特定の場面で、半年以上話さない
  • 話そうとすると強い緊張・不安を訴える
  • 親や家族にも言葉での表現がほとんどない
  • 言葉の理解・表出に遅れがある
  • まわりとの関係に極端な困難がある(視線が合わない、やりとりにならない など)

→ 小児科や発達支援センター、ことばの教室、療育機関(言語聴覚士や心理士)などへの相談をおすすめします。


最後に:「話さない」の奥にある、“伝えたい”気持ちに目を向けて

子どもが話さないと、「なんで?」「このままで大丈夫?」と不安になることは自然です。
でも、大切なのは“声”そのものではなく、「心がどう感じているか」という部分。

声が小さくても、言葉がなくても、
子どもは何かを伝えようとしているのかもしれません。

焦らず、責めず、
「あなたがあなたでいい」と思える安心の中で、
少しずつ「声にしてみようかな」という芽が育っていきます。

子どもの気持ちに寄り添いながら、そのタイミングを一緒に待っていきましょう。

療育コンサル 中山 のぞみ
D&I株式会社取締役兼療育センター長
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