“ひとつできた”が次につながる——スモールステップの力
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“ひとつできた”が次につながる——スモールステップの力

2025年8月4日 更新:2026年5月18日

こんにちは。
子育てをしていると、こんな気持ちになることはありませんか?

  • 「何回言ってもできるようにならない…」
  • 「もっと早くできるようになってほしい」
  • 「他の子はもうできてるのに、うちの子は…」

でも、よく思い出してみてください。
何かが「できた!」瞬間の、あのキラキラした笑顔。
実はそのひとつひとつが、次の成長につながる“種”になっているのです。

今回は、「スモールステップ=小さなできた」の積み重ねが、どれほど大きな力になるのか。
その意味と家庭でできる実践方法についてご紹介します。


第1章 スモールステップとは?

✅ スモールステップとは…

「できないこと」を一気に解決しようとするのではなく、
“できそうな小さな一歩”に分けて、少しずつ進む方法です。

たとえば、こんなふうに分けていきます。

【例】靴を自分で履けるようになるまで

  1. 靴を持ってくる
  2. 片足だけ入れてみる
  3. 両足入れてみる
  4. かかとをトントンする
  5. マジックテープをとめる

→ このように細かいステップにすることで、「できた!」を増やしていく方法がスモールステップです。


第2章 なぜスモールステップが効果的なのか?

(1)「できた!」が自信を育てる

→ 子どもにとって「できた」という体験は、自分を肯定する土台になります。

  • 「ぼくにもできた!」
  • 「やってよかった」
  • 「またやってみたい」

→ この積み重ねが、“次もチャレンジしよう”という気持ちにつながります。


(2)失敗体験が減り、安心して挑戦できる

→ スモールステップでは、失敗のリスクが少ないので、
「どうせできない」とあきらめてしまう気持ちを防げます。

→ 「頑張ったのにうまくいかない」を繰り返すより、
「ちょっとできた」が続く方が、安心して前向きになれます。


(3)脳の発達に合った学び方

→ 特に発達に特性のあるお子さん(ASD、ADHD、LDなど)にとっては、
一度にたくさんのことを処理するのが苦手なことがあります。

→ スモールステップは、認知・感覚・運動すべての面で、
「無理なく、少しずつ」育てるのに適した方法です。


第3章 家庭でできるスモールステップの取り入れ方

(1)“どこでつまずいているか”を観察する

→ まずは、「今、どこまではできているのか?」を丁寧に見てみましょう。

✅ 例:

  • 食事中にスプーンは持てるけど、口まで運べない
  • 着替えの時にズボンは脱げるけど、畳めない
  • 靴下をはくときに、かかとを合わせるのが難しい

→ 「全部ができない」ではなく、「途中まではできている」ことに注目します。


(2)「〇〇できたね」と明確に声をかける

→ 子どもは、自分の行動を“認識する力”がまだ育ち途中です。

→ 「スプーン持てたね」「足入れたね」など、
言葉で“できたこと”を可視化してあげることで、意欲につながります。


(3)失敗より“やってみた”ことを褒める

→ 完成度ではなく、「やってみようとした気持ち」「自分でやろうとした姿勢」を大切にします。

✅ 声かけ例:

  • 「自分でズボン脱ごうとしてたね、すごいね」
  • 「ちょっと手伝ったけど、ほとんど自分でできたね」
  • 「うまくいかなかったけど、チャレンジできたね」

(4)“ごほうび”は物より、経験や共感が◎

→ ごほうびは“おもちゃ”や“お菓子”よりも、「いっしょに遊ぶ」「たくさん褒める」など、人との関わりの中で得られる喜びの方が持続的です。


第4章 スモールステップがうまくいかないときは?

✅ こんなときは見直しを

  • ステップが大きすぎる(次の段階が遠い)
  • 子どものモチベーションが下がっている
  • 環境が合っていない(疲れている、周囲がうるさい など)

→ 一度ステップを「もっと小さく」したり、「気分転換」をはさむのも有効です。


✅ 例:うがいを練習したいときのステップ

  1. コップを持つ
  2. 水をくちに含む
  3. 含んでから吐き出す(ぶくぶく)
  4. 「あー」と声を出す
  5. 声を出しながらうがい(がらがら)

→ 最初から「がらがら」だけを求めると、つまづきやすくなります。


第5章 発達支援の現場でも重視されている“スモールステップ”

スモールステップは、ただの“ゆっくり練習”ではありません。
発達支援の現場では、以下のような理由で重視されています。

  • 達成感を積み重ねることで脳の報酬系が働く
  • 自己肯定感が育つと、挑戦行動が増える
  • 目標行動までの“見通し”をつけやすくなる

特に、自閉スペクトラム症や注意欠如多動症などの特性がある子どもにとっては、
“できた自分”を実感することが、「安心してチャレンジできる土台」になります。


最後に:「ひとつできた」ことが、子どもの未来をつくる

「たったこれだけ…」と思うような小さなことでも、
子どもにとっては大きな“できた!”の一歩かもしれません。

  • うまくいかなくても、やってみた
  • 今日は昨日よりちょっと進んだ
  • 自分で「やってみよう」と思えた

そんな経験が積み重なって、
いつの間にか「自分でやる子」「挑戦できる子」へと育っていきます。

「早く」「完璧に」ではなく、
“今できること”を“ちょっとずつ”広げていくこと。

それが、子どもの成長を一番近くで支える方法なのかもしれません。

焦らず、比べず、
「その子なりのペース」で歩んでいく時間を、一緒に楽しんでいきましょう。


療育コンサル 中山 のぞみ
D&I株式会社取締役兼療育センター長
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