“ずっと同じ遊び”ばかり選ぶのはなぜ?
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“ずっと同じ遊び”ばかり選ぶのはなぜ?

2025年8月7日 更新:2026年5月18日

こんにちは。
お子さんが、毎日同じおもちゃで遊んだり、同じ番組・絵本ばかり見たがったりすることに、こんな不安を感じたことはありませんか?

  • 「またこれ…ってくらい、ずーっと電車の本ばかり」
  • 「公園でも、毎回同じすべり台しか行かない」
  • 「レゴばっかりで他のおもちゃに見向きもしない」
  • 「せっかく新しい絵本を買ったのに、開きもしない」

「いろんな遊びをしてほしい」「視野を広げてほしい」
そう思うのが親心かもしれません。

でも、実は“同じ遊びを繰り返す”ことには、子どもなりの理由と、発達上の意味があるのです。


第1章 子どもは「くり返し」で育つ

まず大前提として、人間の発達にとって「くり返し」はとても大切な要素です。

✅ 同じことを何度も繰り返すことで…

  • 動きが洗練されていく(粗大運動・微細運動)
  • 仕組みを理解する(因果関係や構造)
  • 安心感を得る(予測がつく世界)

たとえば、何度も同じボタンを押す、ブロックを同じ形に並べる、同じページばかり開く——
これは、脳の中で「知ってる」「わかる」が積み重なっているサインでもあります。


第2章 “同じ遊びばかり”が気になる理由とは?

保護者の方が気になるのは、こうした疑問ではないでしょうか?

  • 「発達に偏りがあるのでは?」
  • 「他のことに興味がないのでは?」
  • 「知的な広がりが足りないのでは?」

その不安も、もちろん大切な視点です。
ただし、大切なのは、“同じことをしている理由”を見つめることです。


第3章 “同じ遊びばかり”の背景にある3つの理由

(1)“予測できる世界”が心地いい

→ 初めてのもの・想定外のことが苦手な子にとっては、「結果がわかる遊び」が安心材料になります。

✅ 例:

  • 自分でゴールを決められる電車遊び
  • 展開が決まっているテレビ番組
  • 音や仕掛けが毎回同じおもちゃ

→ 「何が起こるか分かっていること」で、自信を持って遊べるのです。


(2)“感覚”を満たす役割がある

→ 感覚が過敏/鈍麻な子にとって、特定の遊びは**「感覚を調整する道具」**になっている場合があります。

✅ 例:

  • 揺れる遊具ばかり好む→前庭感覚の追求
  • 指先を使うレゴで延々遊ぶ→触覚や固有感覚の調整
  • パズルばかり→視覚・空間認知が落ち着く

→ 他の遊びに行かないのではなく、“必要な刺激”を満たしている可能性があります。


(3)“得意”を伸ばしている最中

→ 特定の遊びが得意な場合、「できる=楽しい」「結果が出る=もっとやりたい」状態になっています。

✅ 例:

  • 絵を何時間も描いている
  • 時計の仕組みに興味を持ち、自分で研究している
  • 歌を何度も聞いて、真似して歌っている

→ 繰り返す中で“自信”と“理解”が育っている過程なのです。


第4章 家庭でできる5つのサポート

(1)「なぜ同じ遊びを選ぶのか?」を観察する

→ 子どもが何を得ているかを知ると、見方が変わります。

  • 「安心したいのかな?」
  • 「自分でコントロールしたいのかな?」
  • 「音や形にこだわりがあるのかな?」

(2)無理にやめさせようとしない

→ 「たまには違うのにしなさい」などと誘導しすぎると、逆に不安定になったり、遊び自体を楽しめなくなります。


(3)“ちょい足し”で遊びに広がりをつける

→ 全く別の遊びに移るのではなく、「ちょっとだけ新しい刺激」を加えてみましょう。

✅ 例:

  • レゴに紙を加えて「看板」や「街」を作ってみる
  • 電車の線路のそばに、お店や信号を作ってみる
  • 好きな本の登場人物を使ってお話を作る

→ 「好き」に「+α」の経験を乗せることで、自然と遊びの幅が広がります。


(4)一緒に遊びながら“他の遊び”に橋をかける

→ 子どもは、信頼できる大人と遊ぶ中で「いつもと違うこと」にチャレンジしやすくなります。

✅ 例:

  • 「それって、お店やさんごっこにできそうだね」
  • 「この電車、今日のお話はどうなるかな?」

→ 無理のない範囲で“展開”を加えると、自発的な広がりが出てくることもあります。


(5)“その子の得意”を見逃さずに育てていく

→ 繰り返し遊びの中には、得意の芽が隠れていることも多いのです。

  • 「空間認知の力」
  • 「ストーリーを作る力」
  • 「集中力や観察力」

→ 子どもが“何を楽しんでいるのか”をていねいに見ていくと、将来の強みにもつながります。


第5章 こんなときは専門的な視点も

以下のような場合は、発達の専門家に相談するのがおすすめです。

  • 極端に偏った遊びしかしない(生活や学びに支障)
  • 「それ以外は不安でできない」状態が長く続いている
  • 人とのやりとりが極端に苦手
  • 言葉のやりとりや模倣の広がりが乏しい

→ ASD(自閉スペクトラム症)や感覚統合の課題などが背景にある可能性もあります。


最後に:「“同じこと”の中にある“育ち”を見つめよう」

「どうして、またそればかり…?」と心配になる気持ちは、とても自然です。
でも、子どもにとっての「同じ遊び」は、“自分の世界”を安心して広げる土台なのかもしれません。

わかる → できる → 楽しい → もっとやりたい
この流れの中で、子どもたちは確かに育っています。

無理に広げるのではなく、
「今、その子が必要としている世界ってなんだろう?」と見つめながら、
少しずつ、その“好き”が“世界”に広がっていくようなサポートを重ねていきましょう。

療育コンサル 中山 のぞみ
D&I株式会社取締役兼療育センター長
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