親から一瞬も離れられない。親分離ができない、、、
保護者がトイレに行くだけで激しく泣いてお母さんはどこへ行ったのかと心配になり、買い物に行くと待てずにぐずぐず泣き続けるため、一瞬も親から離れられず、疲れ果ててしまうというご相談を、よくいただきます。幼稚園に預ける時も大泣きして離れられず、先生に引き渡すまで泣き続けるため、保護者が帰った後も長時間泣いているとのことで、お子さまが園で困っているのではないか、本当に大丈夫なのか心配で、保護者も後ろ髪を引かれる思いで帰るという状況が続いているという保護者の方が、とても多くいらっしゃいます。
なぜこんなに親から離れられないのか、普通のお子さまはもっと早く一人で過ごせるようになるのに、我が子だけできないのか、これから学校に上がったら大丈夫なのかという不安も大きいというお気持ち、本当によく分かります。
親から一瞬も離れられない、親分離ができないという状況は、発達障害のお子さまに非常に多く見られる困難ですが、適切な段階的アプローチによって少しずつ親から離れる力は育っていきますので、焦らずに進めていくことが大切です。
親分離ができない理由
分離不安が強い
親と離れることへの不安が非常に強く、親がいなくなったら大変なことになるのではないか、親が戻ってこないのではないかという不安が、強い恐怖心につながっており、親と一緒にいないと安心できません。
親が安心基地になっている
発達障害のお子さまにとって、親は不安な時に駆け込める安心基地の役割を果たしており、その安心基地から離れることが耐えられず、常に親のそばにいたいという欲求が強くなります。
見通しが持てない不安
親がいつ戻ってくるのか、どのくらい離れているのか、見通しが持てないため、不安が増幅されてしまい、確実な約束がなければ安心できません。
変化への不安
いつもと違う場所、親がいない状況という変化が不安で、予測できない変化に対応することができず、親がいることで変化を緩和できるため、親から離れられません。
コミュニケーション困難
自分の気持ちを言葉で表現できず、親に頼る傾向が強く、何かあった時に親に相談したい、親に助けてほしいという気持ちから、常に親のそばにいたいと思っています。
過去の嫌な体験
短時間でも親から離されて、怖いことが起こった、不安なことが起きた、という経験がトラウマになっており、親から離れることが恐怖の対象になっています。
自己肯定感が低い
自分一人では大丈夫だと思えず、親の助けがなければ何もできないという思い込みがあり、親がいないと何か悪いことが起こるのではないかという不安があります。
感覚過敏による不安
環境の音や光など感覚刺激に敏感で、親がいないと刺激から身を守れないのではないかという不安があり、親の存在で刺激を緩和できるため、親から離れられません。
家庭でできる親分離の力を育てる工夫
短い時間から始める
いきなり園に預けるのではなく、親が別の部屋に行く、親が見守りながら少し距離を取るなど、短い時間から始めることで、親がいなくても大丈夫という経験を積みます。
親がいなくなる時間を予告する
突然親が目の前からいなくなるのではなく、これからお母さんがトイレに行くよ、あっという間に戻ってくるよと事前に言うことで、心の準備ができます。
帰ってきたら大いに褒める
親がいない時間を過ごせたら、本当に大いに褒めることで、一人で待てたね、頑張ったね、えらいと認めることで、親から離れることが良いことだと学習します。
タイマーで時間を示す
親がいない時間をタイマーで示すことで、このタイマーが鳴ったらお母さんが戻ってくるよと見せることで、見通しが持て、いつ親が戻るか分かると不安が軽減されます。
見通しのある約束をする
親がいない時間に何をするか、いつ戻るか、具体的に約束することで、お母さんはお買い物に行ってきます、30分で戻ります、その間おもちゃで遊んでようねと約束することで、見通しが持てます。
親の写真や物を傍に置く
親がいない時に親の写真を見られるようにする、親の衣類の匂いがするものを傍に置くなど、親の存在を感じられるものを傍に置くことで、安心感が高まります。
動画で親とつながる
保育園でどうしても不安な場合、お母さんが動画を撮ってくれるのを見るなど、技術的に親とつながる方法を使うことで、親が自分のことを考えてくれているという安心感が生まれます。
離別の儀式を作る
毎回同じお別れの儀式をすることで、バイバイをする、手を振るなど、決まった儀式があると心の準備ができ、見通しが持てて不安が軽減されます。
保育園の先生に相談する
先生にお子さまの分離不安を伝えて、親がいない時にどう対応してほしいか相談することで、園と家庭が連携することで、お子さまの不安に対応できます。
一人の時間を楽しい経験に変える
親がいない時に大好きなおもちゃで遊べる、好きなお菓子が食べられるなど、親がいない時に楽しいことがあると、親がいない時間も悪くないと思えるようになります。
親自身も堂々と去る
親が罪悪感を持ったり、後ろ髪を引かれたりしていると伝わるため、お母さんはお仕事に行ってくるね、またね、楽しく過ごそうねと堂々と去ることで、親が大丈夫そうに見えると子どもも安心できます。
親の不安を軽減する
保護者自身が子どもを置いていく不安を強く持っていると、それが子どもに伝わり、子どもの分離不安が増幅されるため、保護者自身が大丈夫だと思い込むことが大切です。
自己肯定感を育てる
普段からお子さまの良いところを見つけて褒める、できていることを認める、やろうとしたことを応援することで、自分はできる子だという自信が生まれ、親がいなくても大丈夫だという気持ちが育ちます。
一人遊びの時間を作る
保護者がそばにいても、お子さまが一人で遊ぶ時間を作ることで、親の視界に入りながら少し離れた場所で遊ぶという経験が、親から離れる練習になります。
友達と遊ぶ時間を増やす
友達と遊ぶ経験が増えることで、親以外の人間関係が充実し、親がいなくても大丈夫という気持ちが育ちます。
別れのルーティンを一緒に作る
毎日の別れのお約束を、お子さまと一緒に決めることで、お母さんはお仕事に行く、〇〇時にお迎えに来るというルーティンが理解できると、不安が減ります。
不安の気持ちを受け止める
親から離れるのが怖いんだね、不安なんだねと感情を受け止めることで、気持ちを否定されず受け止めてもらえると、少しずつ安心できるようになります。
園の様子を聞く
毎日園からお子さまがどのように過ごしているか聞くことで、親がいない時も楽しく過ごしていることを知ると、親の不安も軽減され、その安心感が子どもにも伝わります。
段階的に時間を延ばす
一週間は10分別離、次の週は15分別離というように、段階的に親がいない時間を延ばしていくことで、ステップバイステップで親から離れる力を育てます。
専門家に相談するタイミング
就学年齢でも全く分離ができない時
小学校1年生になっても親から全く離れられず、学校生活に支障が出ている場合は、心理的なサポートが必要です。スクールカウンセラーに相談します。
パニックが激しく危険な時
親から離れる時に激しくパニックになり、自傷や他害が見られる場合は、早急な対応が必要です。
親自身の不安が強い時
保護者自身の分離不安が強く、それが子どもに伝わっている場合は、保護者のメンタルケアを含めて相談が必要です。
日常生活に大きな支障がある時
親がトイレに行くだけで大パニックになり、保護者が全く自分の時間が取れない、家事ができないという状態が続いている場合は、サポートが必要です。
親分離ができるようになる日は必ず来る
親から一瞬も離れられない、親分離ができないというお悩み、、、常に子どもに付き添い続けなければならず疲れ果ててしまうお気持ち、よく分かります。
でも、知っておいていただきたいのは、親分離ができるようになる日は必ず来るということです。今は親から離れられなくても、段階的なアプローチと時間によって、確実に一人で過ごす力は育っていきます。
大切なのは、短い時間から始めること、親がいなくなる時間を予告すること、見通しのある約束をすること、親がいない時間を楽しい経験にすること、親自身が堂々と去ることで自己肯定感を育てることです。そして何より、焦らないこと、お子さまのペースを尊重することです。
親分離ができるようになると、お子さまが一人で過ごす経験が増え、自信がつき、学校生活がスムーズになり、親も自分の時間が持てるようになり、親子関係が改善されます。
焦らないでください。少しずつ、親分離の力を育てていきましょう。今日は別れで泣かなかった、明日は一人で15分待てた、来週はお迎えまで笑顔で遊べた。必ず進歩します。その可能性を信じて、今日から段階的なアプローチを始めてみましょう。
親分離は発達の大切なマイルストーンです。お子さまのペースを尊重しながら、温かく見守りながら、一緒に親分離の力を育てていきましょう。