着替えに1時間、、、朝の支度、どうすればスムーズ?
朝の着替えにお子さまが1時間もかかってしまい、何度促してもダラダラして進まず、服を着せようとすると嫌がって逃げ回り、結局保護者が無理やり着せることになって毎朝バトルになり、幼稚園や学校にギリギリか遅刻してしまうというご相談を、よくいただきます。自分で着替えようとせず、服を渡しても遊び始めてしまい、靴下を片方履いたままボーッとしていたり、パジャマを脱ぐだけで30分かかったりして、どうすれば朝の支度がスムーズになるのか分からず疲れ果ててしまっている保護者の方が、とても多くいらっしゃいます。
他の子は自分でサッと着替えているのに我が子だけ時間がかかり、保育園や幼稚園では先生が着替えを手伝ってくれるけれど小学校に入ったら自分で着替えないといけないので心配で、このまま自分で着替えられるようになるのかという不安も大きいというお気持ち、本当によく分かります。
着替えに1時間かかる、朝の支度が進まないという状況は、発達障害のお子さまに非常に多く見られる困難ですが、適切な工夫と支援によって少しずつスムーズになっていきますので、焦らずに段階的に進めていくことが大切です。
着替えに時間がかかる理由
手指の不器用さ
発達性協調運動障害があると手指の細かい動きが苦手で、ボタンをはめる、ファスナーを上げる、紐を結ぶといった動作が非常に難しいため、時間がかかってしまい、できないから嫌になってやろうとしなくなります。
服の着方が分からない
どこから手を通すのか、どちらが前でどちらが後ろなのか、服の着方が理解できていないため、何度教えても覚えられず、毎回同じところでつまずいてしまいます。
順序が覚えられない
着替えの順序が覚えられず、下着を着る前にズボンを履こうとしたり、靴下を最初に履いてしまったりして、効率的に着替えることができないため時間がかかります。
注意が散漫
着替えている途中で他のことが気になってしまい、おもちゃが目に入ると遊び始めてしまう、窓の外を見てボーッとしてしまうなど、注意が散漫で着替えに集中できません。
切り替えが苦手
遊びや寝ている状態から着替えるという活動に切り替えることが苦手で、まだ遊びたい、まだ寝ていたいという気持ちが強く、着替えという次の活動に移れません。
感覚過敏
服の素材や縫い目、タグなどが肌に触れることが不快で、特定の服しか着られない、新しい服を嫌がる、靴下の縫い目が気になるなど、感覚過敏があると着替えが非常に苦痛になります。
着替える意味が分からない
なぜパジャマから服に着替えなければいけないのか理由が理解できていないため、パジャマのままでいいじゃないかと思っており、着替える必要性を感じていません。
時間の概念が弱い
あと何分で出発する、何時までに着替えるという時間の概念が弱いため、急ぐ必要性が分からず、ゆっくりマイペースで着替えてしまいます。
家庭でできる着替えをスムーズにする工夫
着替えやすい服を選ぶ
ボタンやファスナーのない服、かぶるだけのTシャツ、ウエストゴムのズボンなど着脱しやすい服を選ぶことで、不器用なお子さまでも自分で着られるようになり、成功体験を積むことができます。
感覚に配慮した服を選ぶ
肌触りの良い素材、縫い目が少ない服、タグを切った服など感覚過敏に配慮した服を選ぶことで、着心地が良い服だと着替えへの抵抗が減り、スムーズに着られるようになります。
着る順番を視覚的に示す
着替えの順番を絵カードや写真で示すことで、1番:パジャマを脱ぐ、2番:下着を着る、3番:Tシャツを着る、4番:ズボンを履く、5番:靴下を履くという流れが分かると、迷わず着替えられます。
前日の夜に服を準備する
朝になってから服を選ぶのではなく、前日の夜に翌日着る服を一緒に選んで並べておくことで、朝は迷わず着るだけになり、選ぶ時間が省けて朝の時間短縮になります。
着る場所を決める
毎日同じ場所で着替えるというルーティンを作ることで、この場所に来たら着替えるというパターンができ、習慣化すると自然に着替えモードに入りやすくなります。
タイマーを使う
着替えの時間を視覚的に示すことで、このタイマーが鳴るまでに着替えようねと見せることで、時間の感覚が分かり、ゲーム感覚で楽しく着替えられることもあります。
一緒に着替える
保護者も一緒に着替えることで、お手本を見せながら一緒にやることで真似しやすく、一緒にやると楽しい雰囲気になり、着替えが嫌なものではなくなります。
一つずつ手渡す
全部の服を渡すのではなく、一つずつ手渡すことで、まず下着を渡して着たら次はTシャツを渡すという風に、一つずつクリアしていくと混乱せずに進められます。
できたら褒める
自分で一枚でも着られたら大いに褒めることで、一人で着られたね、すごいと認めることで、着替えることが良いことだと学習し、やる気が出ます。
朝の時間に余裕を持つ
ギリギリの時間ではなく、余裕を持って起こすことで、30分早く起こして余裕を持たせることで、焦らずに着替えられ、保護者もイライラせずに見守れます。
着替えゲームにする
着替えを楽しいゲームにすることで、Tシャツトンネルをくぐろう、ズボンの穴に足を入れられるかななど、遊びの要素を入れると楽しく着替えられます。
好きなキャラクターの服を用意する
好きなキャラクターの服を着ることを楽しみにすることで、この服着たら〇〇になれるねと声をかけると、着替えるモチベーションになります。
音楽をかける
着替えタイムの音楽をかけることで、この曲が終わるまでに着替えようね、この曲の間は着替えタイムだよと、音楽で切り替えのスイッチを入れることができます。
少しずつ自立を促す
最初は全部手伝って、次は最後の仕上げだけ自分でやらせる、その次は半分自分でやらせるという風に、段階的に自分でできる部分を増やしていくと、無理なく自立に向かえます。
できないところは手伝う
全部自分でやらせようとせず、できないところは手伝うことで、ボタンだけは手伝う、袖に手を通すのだけ手伝うなど、部分的に手伝うことで、全体としてはスムーズに着替えられます。
朝の流れを視覚化する
着替えだけでなく朝の流れ全体を視覚化することで、起きる→トイレ→着替え→朝ごはん→歯磨き→出発という流れが分かると、見通しが持てて動きやすくなります。
前向きな声かけをする
早くしなさい、遅いという否定的な声かけではなく、あと一枚だね、もうすぐ終わるね、頑張ってるねという前向きな声かけをすることで、やる気を損なわずに進められます。
失敗しても責めない
時間がかかっても、うまくできなくても、責めたり怒ったりせずに、大丈夫だよ、次はできるよと励ますことで、着替えが嫌なものにならず、次も挑戦しようという気持ちが育ちます。
専門家に相談するタイミング
小学校入学後も全く自分で着替えられない時
小学校に入っても全く自分で着替えられず、体育の着替えなど学校生活に支障が出ている場合は、作業療法士への相談が有効です。手指の不器用さに対する専門的な訓練を受けることで、着替えに必要な力が育ちます。
手指の不器用さが日常生活全般に影響している時
着替えだけでなく、ボタンができない、箸が使えない、ハサミが使えない、字が書けないなど日常生活全般で不器用さが目立つ場合は、発達性協調運動障害の可能性があるため、専門的な評価と支援が必要になります。
感覚過敏が強く服が着られない時
特定の素材しか着られない、新しい服を全て拒否する、裸でいたがるなど感覚過敏が非常に強い場合は、感覚統合療法などの専門的な支援が効果的です。
朝の支度で毎日大きなトラブルになる時
着替えを巡って毎朝激しい癇癪やパニックになり、家族全員が疲れ果てている場合は、早めの相談が重要です。専門家から具体的な対応方法を学ぶことで、家庭での対応が楽になります。
着替えの力は必ず育つ
着替えに1時間かかる、朝の支度が進まないというお悩み、毎朝時間に追われてイライラしてしまうお気持ち、よく分かります。
でも、知っておいていただきたいのは、着替えの力は必ず育つということです。今は時間がかかっていても、適切な工夫とサポートによって、少しずつスムーズになっていきます。
大切なのは、着替えやすい服を選ぶこと、順番を視覚的に示すこと、一緒に着替えること、できたら褒めること、朝の時間に余裕を持つこと、少しずつ自立を促すこと、失敗しても責めないことです。そして何より、お子さまのペースを尊重すること、小さな進歩を喜ぶこと、焦らないことです。
着替えがスムーズになると、朝の時間に余裕ができ、遅刻しなくなり、親子ともにストレスが減ったり、お子さまの自信がつき、自立に向けて大きく前進します。
焦らないでください。少しずつ、着替えの力を育てていきましょう。今日は一枚自分で着られた、明日は二枚着られた、次の週は一人で着替えられた。必ず進歩します。その可能性を信じて、今日から工夫を始めてみましょう。
着替えは毎日のことだからこそ、小さな工夫の積み重ねが大きな変化につながります。お子さまの成長を信じて、温かく見守りながら、一緒に着替えの力を育てていきましょう。