“ごはんに集中できない…”〜食事中に立ち歩く子の背景と支援〜
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“ごはんに集中できない…”〜食事中に立ち歩く子の背景と支援〜

2025年9月22日 更新:2026年5月18日

食事がいつも戦いになってしまう

「ごはんの時間なのに、すぐ席を立ってしまう」
「食べ始めても数口で遊びに行ってしまう」
「『座って食べなさい!』と繰り返して疲れてしまう」

保護者の方から、こうした食事中の悩みをよく聞きます。子どもが食事に集中できないと、栄養面の不安だけでなく、「しつけが悪いのでは?」という周囲の視線に悩むこともあるでしょう。

でも実は、食事中に立ち歩いてしまう背景には、発達や感覚の特性、生活リズムの問題など、子どもなりの理由が隠れています。この記事では、食事に集中できない子どもの背景をひもとき、保護者の方がができる具体的な工夫をご紹介します。

第1章:なぜ子どもは食事に集中できないのか?

① 発達段階による集中力の未熟さ

3〜4歳ごろまでは、集中力の持続はせいぜい10〜15分程度です。長時間同じ姿勢で座っていること自体が難しく、立ち歩きは自然な行動でもあります。

声かけ例

  • 「あと5分でごはん終わりにしようね」
  • 「ごはんはここまで食べたら終わりにできるよ」

② 感覚の問題

  • 体の動きを感じる感覚(前庭覚や固有感覚)が強く求められている子は、じっとしていること自体が苦痛に感じます。
  • 触覚の過敏さがある場合、食器や食べ物の感触が嫌で落ち着けないこともあります。

声かけ例

  • 「手がべたべたするの嫌なんだね。じゃあおしぼりをそばに置こう」
  • 「少し座りにくいね。クッションを使ってみようか」

③ 食事への不安や苦手意識

食感や味に敏感な子は、「食事=つらいこと」と感じやすく、その場から逃げたくなる気持ちが立ち歩きにつながります。

声かけ例

  • 「一口だけ食べてみる?」
  • 「においが気になるね。少し遠くに置いておこうか」

④ 生活リズムの乱れ

お腹が空いていない、眠気が強いなど、タイミングによっては集中できません。

声かけ例

  • 「今日は眠いから、少し早くごはんにしようね」
  • 「お腹空いた?じゃあごはんの時間にしよう」

第2章:無理に「座らせる」より大事なこと

「食べる体験」をポジティブに

無理に座らせても、食事自体が嫌な体験になると逆効果です。「楽しく食べられる」ことを優先しましょう。

声かけ例

  • 「一緒に食べるとおいしいね」
  • 「好きな野菜も入ってるよ。食べてみる?」

ルールはシンプルに

「静かに座る」「全部食べる」など細かいルールは、子どもを苦しめることがあります。大切なのは「座って食べる時間がある」というシンプルな枠組みです。

声かけ例

  • 「ごはんは椅子に座って食べようね」
  • 「食べたら遊びに行けるよ」

第3章:家庭でできる工夫

① 食事環境を整える

  • 足が床につかない椅子 → 足置きをつける
  • テーブルと椅子の高さが合わない → クッションで調整する
  • テーブル上の刺激(おもちゃ、テレビ) → 片付けて集中できる環境に

② 量を減らして「達成感」を持たせる

最初から多いと「食べきれない」と感じて立ち歩きにつながります。少量にして「できた!」を積み重ねましょう。

声かけ例

  • 「今日はこれだけ食べられたね。すごい!」
  • 「次はもう一口だけ食べてみる?」

③ 見通しを持たせる

「終わりが見えない」と集中しにくいので、時間や量の見通しを示すと安心できます。

  • タイマーで10分をセットする
  • 「3口食べたら終わり」と約束する

声かけ例

  • 「あと3分でおしまいだよ」
  • 「このお皿が空になったら終わりね」

④ 一緒に食べる

大人が隣で一緒に食べることで、子どもは自然に座りやすくなります。

声かけ例

  • 「ママも今食べてるよ。一緒に食べよう」
  • 「同じお皿から少しずつ食べてみようか」

第4章:園や外出先での対応

園での食事

保育士さんと連携して、家庭での工夫を共有すると一貫したサポートができます。

  • 「おしぼりを用意すると落ち着く」
  • 「少量から始めると食べやすい」

外食の工夫

  • 混雑する時間を避ける
  • 子どもが座りやすい椅子を選ぶ
  • 食べられるものを事前に確認しておく

第5章:相談を検討したほうがよいケース

  • 食事の立ち歩きが極端で、ほとんど食べられない
  • 感覚過敏や偏食が強く、栄養が偏っている
  • 食事そのものに強い拒否反応がある

こうした場合は、小児科や発達相談窓口、療育センターで専門的なアドバイスを受けましょう。

最後に:食事は「育ちの場」

子どもの「食事に集中できない」姿は、しつけ不足ではなく、発達の特性や感覚の違いによることが多いのです。

  • 集中力の発達には段階がある
  • 感覚や生活リズムが影響していることがある
  • 工夫や環境調整で「楽しく食べられる時間」にできる

「座って食べる」ことだけをゴールにせず、食事を安心して楽しめる経験を積み重ねていくことが大切です。

「今日は少し長く座れた」「一口多く食べられた」——そんな小さな成長を一緒に喜びながら、子どもの食事の時間を育ちにつなげていきましょう。

療育コンサル 中山 のぞみ
D&I株式会社取締役兼療育センター長
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