「お友だちを叩いてしまう…」——乳幼児の“攻撃的行動”にどう向き合う?
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「お友だちを叩いてしまう…」——乳幼児の“攻撃的行動”にどう向き合う?

2025年6月27日 更新:2026年5月18日

こんにちは。
今回は、保育園や公園、兄弟姉妹との遊びの中でよく見られる“お友だちを叩く”という行動について取り上げます。

「急に手が出るんです…」
「友だちを叩いてしまって謝る毎日です」
「どうしても止められないんです」

こんなふうに悩む保護者の方も多いのではないでしょうか?

このような“攻撃的”とも見える行動、実は「問題行動」ではなく、発達の途中で誰にでも見られる“心の成長の一部”であることも多いのです。
大切なのは、“なぜその行動が起きたのか”を理解し、叱るだけではない支援の視点を持つことです。


第1章 子どもが叩くとき、何が起きているのか?

乳幼児期の子どもが「手が出る」場面には、いくつかの背景が隠れています。

(1)ことばより“行動”で伝える時期

2〜3歳頃は、「自分の気持ちをことばで言う」力がまだ発達の途中。
「貸してって言えない」「やめてって伝えられない」
そんな時に、叩く・押すなどの“行動”で表現してしまうことがあります。


(2)衝動を抑える力が未成熟

前頭前野と呼ばれる「自分の行動をコントロールする脳の働き」は、ゆっくり時間をかけて育ちます。
「やりたい!」と思ったときに手が出てしまうのは、その調整力が未熟なためです。


(3)感覚過敏・感情過敏が関わっていることも

  • ちょっと触られただけで「痛い!」と感じる感覚過敏
  • 声のトーンに強く反応する感情の過敏さ

これらの特性があると、“相手の行動”に対して過敏に反応し、「防衛的」に手が出てしまうケースもあります。


第2章 叱るだけでは伝わらない3つの理由

「ダメでしょ!」
「叩いたら嫌われるよ!」
ついこんなふうに叱ってしまうこと、ありますよね。でもこのアプローチ、実は伝わりにくい理由があります。

(1)“なぜダメか”がわからない

子どもは「叩いたらダメ」と言われても、「なぜダメなのか」「どうしたらよかったのか」がわからないと、行動の改善にはつながりません。


(2)叱られることで自己評価が下がる

「また怒られた」「ぼくはダメな子だ」と感じることで、自信を失い、逆にかんしゃくや自己否定的な行動が増えることも。


(3)衝動が出た瞬間には“反省”できない

興奮した状態では、そもそも「冷静に反省する」ことができません。
脳が落ち着いてから、ゆっくりと“ふり返り”を行うことが大切です。


第3章 家庭でできる支援の工夫5選

(1)“代わりの伝え方”を教える

「だめ!」ではなく、「こう言ってごらん」と伝えることで、ことばの使い方を学びます。

✅ 例:
・「かして」
・「やめてって言おうね」
・「いっしょにあそぼうって言ってみようか」


(2)“手が出る前”のサインに気づく

手が出る前には、表情や視線、体の動きにサインが出ることがあります。
「目がぎゅっとなる」「体がかたくなる」などの様子を見て、早めに介入することで、衝動を止めやすくなります。


(3)「叩かなかった場面」を積極的にほめる

「さっき、いやって言えたね」「ちゃんとことばで言えたね」
叩かなかった行動に注目し、ことばで具体的にほめることで、行動の定着を促します。


(4)落ち着ける場所・時間を用意する

興奮してしまったときに落ち着くための“セーフスペース”をつくっておくことも効果的です。
大人と一緒に静かに座れる“安心の場所”があることで、感情を調整しやすくなります。


(5)子ども同士のやりとりを“通訳”してあげる

「〇〇ちゃん、これがほしかったんだね」「△△くんは、いま使っていたからイヤだったんだね」
言葉で補ってあげることで、子どもたちの間の理解が深まり、“やりとり”がスムーズになります。


第4章 「攻撃的」ではなく「助けてほしいサイン」かもしれない

「叩く」という行動だけを見ると、“攻撃”のように思えるかもしれません。
でも、子どもにとっては「困ってる」「どうしたらいいかわからない」という“助けてほしいサイン”であることも少なくありません。

  • 「うまく伝えられない」
  • 「思いがけず怖かった」
  • 「怒っている自分がどうしたらいいかわからない」

そんな子どもの心の中にある“ことばにならない気持ち”に、私たち大人が気づき、寄り添っていくことがとても大切です。


最後に:一緒に育っていけばいい

「また叩いちゃった…」「謝ってばかり…」そんな日は、親もとてもつらいですよね。

でも、子どもは少しずつ、「ことばで伝える力」「相手の気持ちを考える力」「自分の衝動を調整する力」を身につけていきます。

大人の一貫した支えと、あたたかなまなざしがあれば、手が出ていたあの子も、やがて自分の気持ちを“ことば”で伝えられるようになります。

私たち大人も、叱るのではなく、「一緒に育つ」つもりで、子どもの成長を見守っていきましょう。

療育コンサル 中山 のぞみ
D&I株式会社取締役兼療育センター長
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