おもちゃを貸せない、順番を守れない…子どもの社会性はどう育てる?
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おもちゃを貸せない、順番を守れない…子どもの社会性はどう育てる?

2025年5月29日 更新:2026年5月18日

「仲良く遊んでね!」が通じないのには理由があります

「貸してって言ってもダメって言う」
「順番を守らず割り込んでしまう」
「ちょっと注意しただけで怒って手が出る」

そんな姿を見て、「うちの子、友達と遊べないのかな?」「将来大丈夫かな…」と心配になる保護者は多いでしょう。

でも、社会性は「最初から備わっているもの」ではありません。
育つ環境と関わりによって、少しずつ育まれていくものなのです。


なぜ「貸せない」「守れない」ことが起きるのか?

1. 「貸す・待つ」は、発達的に難しい行動

2〜3歳頃は、「自分の物」という意識が強くなる時期。

  • おもちゃを握りしめて離さない
  • 使っていないのに「ダメ!」と拒否

これは“自己の確立”が始まっている証拠であり、「発達の一場面」とも言えます。

また、順番を守る行動には「見通し」や「我慢」が必要です。
これは脳の前頭前野の働きが関わるスキルで、4〜5歳ごろから少しずつ発達していきます。


2. 「他者の気持ち」を想像する力が未熟

小さな子どもにとって、「相手がどう思っているか」を考えるのはとても難しいことです。

  • 「自分が使いたい=今すぐ使いたい」
  • 「あの子が泣いてる=僕のせいだとは思わない」

こうした“自分中心の世界”から、“相手の立場を考える”社会性に育つまでには、多くの経験と関わりが必要です。


3. 発達特性による「社会的なズレ」もある

自閉スペクトラム症(ASD)や注意欠如・多動症(ADHD)などの特性がある場合、

  • ルールを理解するのが難しい
  • 衝動的に行動してしまう
  • 空気が読めないと誤解されやすい

こうした“特性”が原因で、「貸せない」「守れない」場面が目立つこともあります。


貸せるようになるには?社会性の発達ステップ

社会性は「段階を踏んで育つもの」です。
以下のように少しずつスキルを積み上げていきましょう。

【ステップ1】一人遊び

自分の世界を楽しむ時期。おもちゃを取られると強く反応するのも自然です。

【ステップ2】並行遊び(となりで同じ遊びをする)

一緒に遊ぶが、相手と関わらずに自分の遊びに集中しています。

【ステップ3】共有遊び(物の貸し借りやルールの理解)

このステップから、「貸す」「順番を守る」といった行動が徐々に見られるようになります。


今日からできる!家庭で育てる社会性の3つの工夫

1. 「代弁」と「見通し」で気持ちを整理する

貸せなかったときや、順番を待てなかったとき、子どもにいきなり「ダメでしょ!」と言っていませんか?

代弁する言葉がけの例:

  • 「今、使ってたんだよね。取られたくなかったね」
  • 「次の番を待つの、長く感じたんだよね」
  • 「“終わったら貸す”って伝えようか」

子どもは自分の気持ちを言葉にするのが苦手です。
大人が代弁することで、少しずつ気持ちを整理する力が育っていきます。


2. 「貸す」練習は家の中でできる!

いきなりお友達相手に上手に貸すのは、ハードルが高いことです。
まずは家庭内で「貸す・借りる」の練習をしてみましょう。

例:ぬいぐるみやブロックを使って

  • 「ママに貸してくれる?ありがとう、じゃあ使ったら返すね」
  • 「〇〇くんが貸してくれたから、ママうれしいな」
  • 「ちょっと待っててね、次は〇〇くんの番だよ」

大人とのやりとりを通して、「貸す・順番を守る」が“嫌なこと”ではなく“嬉しい経験”として残っていきます。


3. 絵本やごっこ遊びで「社会的ルール」を学ぶ

「社会性」は実際の経験に加えて、物語やロールプレイでの“疑似体験”でも学ぶことができます。

おすすめの取り組み:

  • 「順番を守ること」がテーマの絵本を読む
  • ごっこ遊びで「今日はお店屋さんね」「今はお客さんの番だよ」と役割交代をする
  • 人形を使って「こう言ったら嬉しかったね」「こうしたら悲しかったね」と気持ちを振り返る

遊びの中で、「どう言えば伝わるのか」「どんな気持ちになるのか」を疑似体験していくことで、現実のやりとりもスムーズになります。


叱るよりも、「できた」を見つけてほめる

「また貸せなかった」「今日もトラブル…」と落ち込んでしまうこともあるかもしれません。
でも、そんなときこそ、「できた小さな一歩」に注目してください。

ほめるポイントの例:

  • 自分から「順番だよ」と言えた
  • おもちゃを“ちょっとだけでも”貸せた
  • 貸したあとに「返して」と言えた
  • トラブルになったけど、泣かずに切り替えられた

保護者が「気づいて」「認めて」「ほめる」ことが、子どもにとっての最大のモチベーションになります。


それでも心配なときは…

子ども同士のトラブルが頻繁に続く場合や、明らかに周囲と違う行動が見られる場合には、発達支援の専門家に相談することも選択肢のひとつです。

  • 療育センターや発達支援センター
  • 幼稚園や保育園での巡回相談
  • 小児発達外来(児童精神科や小児神経科)

診断が目的ではなく、「その子に合った関わり方」を一緒に考える場として活用してみてください。


まとめ:「貸せない」「守れない」は“まだ”のサイン

「今は貸せない」
「順番が待てない」
それは、「これから育つ力」があるというサインです。

社会性は、経験と関わりで育つ力。
焦らず、比べず、少しずつ「できた!」を積み重ねていくことで、子どもたちは自分のペースで育っていきます。

  • 気持ちを代弁する
  • 家の中で練習する
  • ごっこ遊びや絵本で気持ちを知る
  • できたことをしっかり認めてほめる

「仲良く遊べるようになったね」
そんな日がきっとやってきます。今はその“芽”を一緒に育てていく時間です。

療育コンサル 中山 のぞみ
D&I株式会社取締役兼療育センター長
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