重症心身障害児の「選ぶ」を育てる関わり

重症心身障害児の「選ぶ」を育てる関わり

2026年07月09日 更新:2026年07月15日

重症心身障害児のお子さんと関わる中で、大切にしたいことの一つが「選ぶ経験」です。
言葉で「これがいい」「いや」「もう一回」と伝えることが難しいお子さんでも、日々の関わりの中で、自分なりに好き・嫌い、心地よい・苦手を表していることがあります。

 

たとえば、好きな光に視線が向く、音楽が流れると表情がゆるむ、苦手な姿勢になると身体に力が入る、触りたい物に手が少し動く。こうした小さな反応は、その子の「こっちがいい」「これは少し苦手かも」という大切なサインです。

 

「選ぶ」というと、カードを指差したり、言葉で答えたりするイメージがあるかもしれません。けれど、重症心身障害児のお子さんにとっての選択は、もっと小さなところから始まります。
見る・目をそらす・表情が変わる・身体の力が抜ける・手足が動く・呼吸が変わるなど、その子なりの方法で意思を表していることがあります。

 

支援者ができることは、まず選択肢を分かりやすく用意することです。
いきなり多くの中から選ぶのではなく、「赤いボールと青いボール、どっちを見るかな?」「音楽を続ける?少し休む?」「光の遊びとボール、どちらに反応があるかな?」というように、2つ程度の選択肢から始めます。選択肢を近づけすぎず、1つずつ見せたり、十分に反応を待ったりすることで、その子のサインを受け取りやすくなります。

 

また、反応が出るまでの時間を大切にすることも重要です。大人のテンポで次々に進めてしまうと、本人が選ぶ前に場面が変わってしまうことがあります。
「見ているかな?」「少し手が動いたかな?」と待つ時間を取り、反応があった時には「こっちを見たね」「これが好きかな」と言葉にして返していきます。

 

この“返す”関わりが、選ぶ力を育てる土台になります。
自分の視線や表情、身体の動きが大人に伝わり、活動が変わる。
その経験が積み重なることで、「自分の反応には意味がある」「伝えると変わる」という感覚が育っていきます。これは、コミュニケーションの大切な第一歩です。

 

選択の場面は、特別な時間だけでなく日常の中にもたくさんあります。
どの音楽を流すか、どちらの玩具を使うか、どの姿勢で過ごすか、活動を続けるか休憩するか。小さな選択を積み重ねることで、お子さんの主体性や安心感につながっていきます。

 

重症心身障害児の療育では、大きな発語や動きだけでなく、さなサインを意思として受け取り、選べる環境を作ることを大切にしています。
「選べた」「伝わった」「自分で決められた」という経験が、その子らしく過ごす力につながっていくと考えています。

 

エコルドネクストでは、一人ひとりの表情・視線・呼吸・身体の動きなどを丁寧に見ながら、その子に合った「選ぶ」経験を積み重ねていきたいと思います。