児童発達・放課後デイでできる歩ける医療ケア児への療育
医療的ケアが必要なお子さんの中には、歩くことができたり、集団の中で元気に遊べたりするお子さんもいます。一見すると「動けるから大丈夫」「みんなと同じ活動に参加できそう」と思われやすいのですが、実際には体調の変化や疲れやすさ、医療的ケアのタイミング、安全面への配慮など、丁寧に見ていく必要があります。
児童発達支援や放課後等デイサービスで大切なのは、「できる・できない」で活動を決めるのではなく、その子が安心して参加できる形を整えることです。歩ける医療的ケア児にとっても、療育のねらいは運動面だけではありません。感覚遊び、SST、個別活動、集団参加などを組み合わせながら、心と体の両面を支えていきます。
運動活動では、走る・跳ぶ・登るといった大きな動きだけでなく、姿勢を保つ、ゆっくり歩く、バランスを取る、物を運ぶなど、その子に合った動きから取り入れます。体調や呼吸、疲労の様子を確認しながら、活動時間や負荷を調整することが大切です。「少しだけ参加する」「途中で休憩する」「座ってできる役割にする」など、参加の方法を柔軟に変えることで、無理なく“できた”を経験できます。
感覚遊びも取り入れやすい活動の一つです。ボールプール、光遊び、スライム、布や素材に触れる遊び、ゆったりした揺れなどを通して、触覚・視覚・前庭感覚・固有感覚など、さまざまな感覚を経験できます。医療的ケアがあるお子さんの場合は、刺激が強すぎないか、姿勢が苦しくないか、チューブ類や機器に負担がかかっていないかを確認しながら行います。安心できる感覚入力は、気持ちの安定や活動への意欲にもつながります。
SSTでは、友だちとのやりとりや、困った時に大人へ伝える練習も大切です。歩けるお子さんほど「自分でできる」と見られやすい一方で、体調のしんどさや不安をうまく言葉にできないこともあります。「休みたい」「手伝って」「少し待って」などを伝える力は、安全に過ごすためにも必要なスキルです。遊びやロールプレイの中で、本人が使いやすい言葉やサインを一緒に練習していきます。
個別活動では、学習、手先の課題、ビジョントレーニング、好きな遊びなどを通して、その子の得意や興味を広げます。集団では疲れやすいお子さんも、個別の落ち着いた環境なら力を発揮しやすいことがあります。本人の「やってみたい」を大切にしながら、集中できる時間や成功しやすい課題を設定することで、自信につながります。
歩ける医療的ケア児への療育で大切なのは、活動に参加させることそのものではなく、安全に、安心して、本人らしく参加できる経験を積み重ねることです。医療的な配慮と発達支援の視点をどちらも大切にしながら、体調・気持ち・環境を丁寧に見立てていく。そうすることで、「できること」だけでなく、「楽しめること」「伝えられること」「自分で選べること」も少しずつ広がっていきます。
児発・放デイは、医療的ケア児にとって、家庭や学校とはまた違う経験ができる場所です。無理をさせるのではなく、その子のペースに合わせて、遊びの中で成長につながる時間を作っていきたいですね。