「遅刻」や「忘れ物」が伝えるサイン:実行機能障害としての視点
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「遅刻」や「忘れ物」が伝えるサイン:実行機能障害としての視点

2025年4月7日 更新:2026年5月18日

「毎朝バタバタして、どうしても遅刻してしまう…」
「忘れ物が多くて、何度言っても改善しない…」
そんな子どもに対して、「やる気がないのでは?」「ちゃんと反省してるの?」とつい叱ってしまうことはありませんか?

でもその背景には、子ども自身の“努力不足”ではなく、脳の「実行機能(Executive Function)」に関する課題が隠れているかもしれません。

今回は「遅刻」や「忘れ物」といった行動を手がかりに、「実行機能障害」という視点から、子どもをサポートするヒントをお届けします。


実行機能とは?

「実行機能」とは、目標に向かって行動するために必要な「脳の司令塔」のような機能のこと。主に以下のような力を指します:

  • 計画を立てる
  • 優先順位をつける
  • 順序立てて行動する
  • 途中で修正する
  • 注意を保つ・切り替える
  • 作業を最後までやり遂げる

この力がうまく働かないと、「やろうと思っていたのにできなかった」「気づいたら時間が過ぎていた」「別のことに気を取られて忘れた」などの行動が見られやすくなります。


子どもの「困った行動」の背景にあるもの

以下のような行動が頻繁に見られる場合、実行機能に関わる課題が考えられます。

☑ 朝の支度に時間がかかる/手順がわからない
☑ 学用品や提出物の準備ができない
☑ スケジュールを忘れる・予定を覚えていない
☑ テストや課題に取りかかるのが遅い/計画的に進められない
☑ 興味のないことに集中できない/注意がすぐそれる

発達障害、特に注意欠如・多動症(ADHD)や自閉スペクトラム症(ASD)のあるお子さんの中には、こうした“実行機能のつまずき”が原因で困りごとを抱えていることがあります。


「叱る」より「仕組み」で支える視点を

実行機能の課題を持つ子どもにとって、繰り返し叱られることは「自信の喪失」「自己否定感」につながりやすくなります。

重要なのは、「本人の努力が足りない」のではなく、「記憶や判断、計画といった“脳の操作機能”に難しさがある」ことを理解することです。

そのうえで、行動を支える「環境」と「ツール」を用意することが支援の第一歩です。


家庭でできるサポートの工夫

✔ 視覚的な手順の提示
ToDoリストやスケジュール表、イラスト付きの準備表などを活用し、「次に何をすればよいか」がひと目でわかるようにします。

✔ タイマーやアラームを活用する
時間の流れを“見える化”することで、時間管理の感覚を身につける練習になります。

✔ 小さな成功体験を重ねる
「できた!」という実感は、次の行動へのモチベーションになります。初めから完璧を求めず、ステップを分けて取り組ませましょう。

✔ 朝のルーチンを構造化する
「起きる→顔を洗う→ごはん→着替え→持ち物チェック」など、順番が決まった行動にすることで、迷いが減り、行動が安定します。

✔ 忘れ物防止カードやチェックリストを作る
視覚的に確認できる一覧表をランドセルや玄関に貼っておくことで、自分でのチェックがしやすくなります。


療育や学校と連携した支援も大切に

療育の場では、作業療法士や保育士、心理士が協力して、子どもの実行機能に合わせた支援を行います。

学校との連携も重要です。たとえば:

  • 課題のスモールステップ化
  • 黙っていてもわかる掲示・スケジュールの提示
  • プリントや宿題の確認サポート
  • 感情のコントロールが苦手な場面での介入方法

など、学校現場でも工夫できることはたくさんあります。


まとめ

「忘れっぽい」「時間が守れない」「集中できない」
そんな行動の背後には、実行機能のつまずきという“見えにくい困難”があるかもしれません。

☑ 子どもの意欲や性格の問題と決めつけない
☑ 見通しや順序を整理する環境を用意する
☑ 「できる方法」で成功体験を重ねる

こうした関わりを通して、子どもたちは「自分にもできる」「自分をコントロールできるんだ」という感覚を育んでいきます。


保護者の方へのご案内

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療育コンサル 中山 のぞみ
D&I株式会社取締役兼療育センター長
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