発達障害児とワーキングメモリ:学習の支援方法を考える
専門家ブログ

発達障害児とワーキングメモリ:学習の支援方法を考える

2025年2月24日 更新:2026年5月18日

こんにちは!発達障害を持つ子どもたちは、学習の場面で「指示を覚えられない」「途中でやることを忘れてしまう」「文章を最後まで理解するのが難しい」といった困難を抱えることがあります。その背景には、「ワーキングメモリ(作業記憶)」の働きが関係していることが多いです。

ワーキングメモリとは、一時的に情報を保持し、それを使いながら処理する脳の機能です。例えば、先生が言った指示を聞きながら、その内容を実行することができるのも、ワーキングメモリの働きによるものです。

今回は、発達障害児とワーキングメモリの関係を詳しく解説し、学習をサポートするための具体的な方法を紹介します!


ワーキングメモリとは?

ワーキングメモリ(作業記憶)は、短期間で情報を保持し、それを使いながら作業するための能力です。

ワーキングメモリが使われる場面

  • 授業中に先生の話を聞いて、それを理解しながらノートをとる
  • 黒板を見て、覚えた内容をノートに書き写す
  • 計算をするときに、途中の数字や繰り上がりを覚えながら処理する

ワーキングメモリが十分に機能していると、学習や日常生活のさまざまな場面でスムーズに情報処理ができます。

しかし、発達障害のある子どもは、このワーキングメモリの働きが弱いことが多く、学習や行動のコントロールが難しくなることがあります。


発達障害児におけるワーキングメモリの課題

発達障害の特性によって、ワーキングメモリの困難さは異なります。

① ADHD(注意欠如・多動症)の場合

ADHDの子どもは、「注意を持続することが難しい」「すぐに別のことに気が散る」といった特性があり、ワーキングメモリの保持が困難になりがちです。

具体的な困難

  • 先生の指示を聞いている途中で、他のことに気を取られてしまう
  • 計算の途中で答えを忘れてしまう
  • 文章を読んでいる途中で、前の内容を忘れてしまう

② ASD(自閉症スペクトラム症)の場合

ASDの子どもは、ワーキングメモリ自体の問題よりも、「情報を整理して適切に活用することが苦手」なことが多いです。

具体的な困難

  • 文章の内容を覚えていても、要点をまとめられない
  • 複数の指示を一度に受けると混乱する
  • 言葉の意味を直感的に理解するのが苦手で、文脈をつなげるのが難しい

③ DCD(発達性協調運動障害)の場合

DCDの子どもは、運動とワーキングメモリの連携に困難があることが多いです。

具体的な困難

  • 体育や図工などで、手順を覚えながら動作をするのが難しい
  • 文字を書くときに、次の単語を考えながら書くのが苦手
  • ボール遊びや縄跳びなど、瞬時の判断が必要な活動が苦手

ワーキングメモリをサポートする学習方法

発達障害児のワーキングメモリを補うには、環境を整えたり、学習方法を工夫したりすることが重要です。以下に、具体的な支援方法を紹介します。


① 視覚的なサポートを活用する

ワーキングメモリが苦手な子どもは、頭の中だけで情報を保持するのが難しいため、視覚的にサポートすることが効果的です。

具体的な方法

  • スケジュール表を作る(「今、何をするのか?」が分かるようにする)
  • チェックリストを使う(やるべきことを一目で分かるようにする)
  • 色や形で情報を整理する(例えば、国語は赤、算数は青など)

② 一度に伝える情報を少なくする

一度に複数の指示を受けると、ワーキングメモリの負荷が大きくなり、混乱しやすくなります。

具体的な方法

  • 指示は短くシンプルに(「ノートを出して書こう!」→「ノートを出す」「書く」と分ける)
  • 1つのタスクが終わってから次の指示を出す

③ ワーキングメモリを鍛えるトレーニングを取り入れる

ワーキングメモリを強化するトレーニングを日常に取り入れることで、記憶の保持や処理能力を高めることができます。

簡単なワーキングメモリトレーニング

  • 「しりとり」(前の単語を覚えておく必要がある)
  • 「買い物ゲーム」(リストの中身を記憶しながら買い物する)
  • 「Nバック課題」(過去の情報を覚えて答えるワーキングメモリ強化課題)

④ 学習環境を整える

学習環境が整っていないと、ワーキングメモリに負担がかかりやすくなります。

具体的な環境調整

  • 学習スペースをシンプルにする(余計なものを置かない)
  • 机の周りの刺激を減らす(視覚的・聴覚的な刺激を最小限にする)
  • 適度な休憩を入れる(長時間の集中は負担になるため、短時間で区切る)

おわりに

ワーキングメモリの特性は、発達障害児の学習や日常生活に大きな影響を与えます。しかし、環境を整えたり、適切なサポートを行うことで、子どもが自分のペースで学習しやすくなります。

「忘れっぽい」「途中で集中が切れる」といった子どもの困りごとに対して、ワーキングメモリを意識した支援を取り入れてみてください!


保護者の方へのご案内

大阪府池田市の療育センターエコルドでは、発達障害児の学習支援やワーキングメモリ強化のトレーニングを実施しています。お子さんの特性に合わせたサポート方法を提案できますので、お気軽にご相談ください!


療育コンサル 中山 のぞみ
D&I株式会社取締役兼療育センター長
プロフィールを見る 専門家ブログ一覧