友達ができない。子どもがいじめられた時の対応法
専門家ブログ

友達ができない。子どもがいじめられた時の対応法

2026年3月10日 更新:2026年5月18日

休み時間、一人で教室の隅にいる。給食の時間、誰も隣に座ってくれない。遠足のグループ分けで、いつも最後まで余ってしまう。話しかけても無視される、笑われる、仲間外れにされる。ランドセルを隠される、悪口を言われる、時には叩かれることもある。

発達支援が必要な子どもの中には、友達関係を築くことが非常に難しく、学校で孤立している子どもが少なくありません。保護者は、一人ぼっちで過ごす我が子の姿に心を痛め、いじめられていると知った時には深い悲しみと怒りを感じます。

この子には友達ができないのか、いつまで一人なのか、いじめはエスカレートするのではないか、不登校になるのではないか。保護者の不安は尽きません。そして、何より子ども本人が、学校に行くことを苦痛に感じ、自己肯定感を失っていくことが最も辛いのです。

しかし、友達ができにくい理由を理解し、適切なソーシャルスキルを教え、いじめには毅然と対応することで、子どもの学校生活は改善していく可能性があります。そして何より、友達の数が多いことが幸せの尺度ではなく、その子なりの人との関わり方があることを、保護者も子ども本人も理解することが大切なのです。

友達ができにくい理由

コミュニケーションの困難

発達支援が必要な子どもは、言葉でのコミュニケーションが苦手なことがあります。

自分の気持ちをうまく言葉にできない、相手の言葉の意図を理解できない、会話のキャッチボールが続かない。そのため、友達と話が続かず、関係が深まらないのです。

暗黙のルールの理解困難

友達関係には、明文化されていない暗黙のルールがたくさんあります。

順番を守る、譲り合う、空気を読む、相手の気持ちを察する。これらを自然に理解することが難しく、知らず知らずのうちにルールを破ってしまい、嫌がられることがあります。

興味の偏り

興味の範囲が狭く、自分の好きなことにしか関心がないことがあります。

電車の話ばかりする、ゲームの話ばかりする、相手が興味のない話を一方的にする。相手の興味に合わせることができず、会話が成立しないのです。

一方的なコミュニケーション

自分の言いたいことだけを話し、相手の話を聞かないことがあります。

相手が話しているのに遮る、自分の話ばかりする、相手の反応を見ない。双方向のコミュニケーションができず、友達が離れていってしまいます。

距離感の問題

人との適切な距離感が分からず、近すぎたり遠すぎたりします。

初対面なのに馴れ馴れしい、逆に親しくなっても距離を詰められない、体の距離が近すぎる、触りすぎる。適切な距離感が取れず、相手を不快にさせることがあります。

感情のコントロールの困難

些細なことで怒る、泣く、感情を爆発させることがあります。

負けると怒る、思い通りにならないと泣く、友達を叩く。感情のコントロールができず、友達が怖がって離れていってしまうのです。

集団遊びの苦手さ

ルールのある集団遊びに参加することが難しいです。

ルールが理解できない、ルールを守れない、負けると怒る、勝手なことをする。そのため、集団遊びに誘われなくなります。

表情や仕草の読み取り困難

相手の表情や仕草から気持ちを読み取ることが苦手です。

相手が嫌がっているのに気づかない、怒っているのに分からない、困っているサインを見逃す。そのため、空気が読めないと思われてしまいます。

いじめの実態と影響

いじめのサイン

子どもがいじめられているサインを見逃さないことが大切です。

実践のポイント

  • 学校に行きたがらない
  • 朝になると体調が悪くなる
  • 学校の話をしなくなる
  • 持ち物がなくなる、壊れている
  • 体に傷やあざがある
  • 表情が暗くなる
  • 食欲がない、眠れない

保護者がこれらのサインに気づくことで、早期に対応できます。

いじめが子どもに与える影響

いじめは、子どもの心に深い傷を残します。

自己肯定感の低下、不安、うつ、不登校、身体症状、対人恐怖、将来への影響。いじめの影響は、子どもの人生全体に及ぶ可能性があります。

二次障害のリスク

いじめが続くと、二次障害を発症するリスが高まります。

うつ病、不安障害、PTSD、不登校、引きこもり、自傷行為。これらの二次障害は、元の発達特性よりも深刻な問題になることがあります。

なぜいじめられやすいのか

発達支援が必要な子どもは、いじめのターゲットになりやすい傾向があります。

反応が面白い、やり返さない、先生に言わない、孤立している、違いが目立つ。いじめる側から見ると、いじめやすい存在なのです。

いじめへの対応

子どもの話をしっかり聞く

いじめの兆候を感じたら、まず子どもの話をじっくり聞くことが大切です。

実践のポイント

  • 落ち着いた環境で話す
  • 責めずに聞く
  • 否定せず受け止める
  • 詳しく状況を聞く
  • 味方だと伝える

保護者がしっかり聞くことで、子どもは安心して話せます。

すぐに学校に連絡する

いじめが分かったら、すぐに学校に連絡することが重要です。

実践のポイント

  • 担任に連絡する
  • 具体的な事実を伝える
  • いつ、誰が、何をしたか
  • 記録を取っておく
  • 早急な対応を求める

保護者が迅速に動くことで、いじめの悪化を防げます。

学校と協力して対応する

学校と協力して、いじめへの対応を進めることが大切です。

実践のポイント

  • 定期的に状況を確認する
  • 学校の対応を確認する
  • 改善が見られない場合は再度要求する
  • 教育委員会への相談も視野に入れる
  • 子どもの安全を最優先する

保護者が学校と連携することで、効果的な対応ができます。

いじめた側への対応を求める

いじめた子どもへの適切な指導を求めることも必要です。

実践のポイント

  • いじめた子への指導を求める
  • 謝罪を求める
  • 再発防止策を求める
  • 保護者同士の話し合いも検討する
  • ただし、感情的にならない

保護者が適切に対応を求めることで、いじめの再発を防げます。

証拠を残す

いじめの証拠を残しておくことが重要です。

実践のポイント

  • 日時、場所、内容を記録する
  • 写真を撮る(傷、壊れた物など)
  • メモを取る
  • 学校とのやり取りも記録する
  • 必要なら証拠として使う

保護者が記録を残すことで、客観的に状況を示せます。

転校・転学も選択肢

状況が改善せず、子どもが苦しんでいる場合、転校や転学も選択肢です。

実践のポイント

  • 子どもの心の健康を最優先
  • 逃げではなく、新しい環境での再スタート
  • 支援級や特別支援学校も検討する
  • 環境を変えることで改善することもある
  • 子どもと相談して決める

保護者が子どもを守るために、環境を変える決断も必要です。

ソーシャルスキルの育て方

ソーシャルスキルトレーニング

社会的なスキルは、意図的に教える必要があります。

実践のポイント

  • 挨拶の仕方を教える
  • 順番の待ち方を教える
  • 断り方、謝り方を教える
  • ロールプレイで練習する
  • 療育で学ぶ

保護者や専門家がスキルを教えることで、友達との関わり方が上手になります。

具体的に教える

抽象的ではなく、具体的にどうすればいいか教えることが重要です。

実践のポイント

  • 空気を読むではなく、相手がこう言ったらこうするを教える
  • 仲良くするではなく、貸してと言うを教える
  • パターンを教える
  • 実際に見せる
  • 練習する

保護者が具体的に教えることで、子どもは実践できます。

小集団での練習

いきなり大集団ではなく、少人数から友達関係を練習します。

実践のポイント

  • 療育の小集団活動
  • 2〜3人の遊び
  • 成功体験を積む
  • 段階的に人数を増やす
  • 安心できる環境で練習

保護者や専門家が小集団の機会を作ることで、無理なく学べます。

興味を広げる

自分の興味だけでなく、他の人の興味にも関心を持てるようにします。

実践のポイント

  • 様々な経験をさせる
  • 新しいことに挑戦する
  • 友達が好きなことを知る
  • 共通の話題を見つける
  • 興味の幅を広げる

保護者が様々な経験を提供することで、友達との共通点が増えます。

失敗から学ぶ

友達との関わりでの失敗を、学びの機会にします。

実践のポイント

  • 失敗を責めない
  • 何がまずかったか一緒に考える
  • 次はどうするか考える
  • 改善策を具体的に示す
  • また挑戦する勇気を持たせる

保護者が失敗を学びに変えることで、子どもは成長します。

友達がいなくても大丈夫という視点

友達の数が幸せの尺度ではない

友達が多いことが良いこと、一人は寂しいこと、という固定観念を手放すことも大切です。

実践のポイント

  • 一人が好きな子もいる
  • 深い関係を一人二人と持つ方が合う子もいる
  • 大勢の友達は疲れる子もいる
  • その子に合った関わり方がある
  • 無理に友達を作る必要はない

保護者がこの視点を持つことで、子どもへのプレッシャーが減ります。

一人の時間も大切

一人で過ごすことが、その子にとって心地よいこともあります。

実践のポイント

  • 一人で本を読む
  • 一人で絵を描く
  • 一人で好きなことをする
  • 一人の時間を楽しめる
  • 孤独と孤立は違う

保護者が一人の時間を認めることで、子どもは安心します。

大人や年下の子との関係

同年齢の友達だけが人間関係ではありません。

実践のポイント

  • 先生との関係
  • 大人との会話
  • 年下の子の面倒を見る
  • 家族との関係
  • 様々な年齢の人と関わる

保護者がこのような関係を認めることで、子どもの人間関係の幅が広がります。

趣味や活動でつながる

学校以外の場所で、共通の興味でつながることもあります。

実践のポイント

  • 習い事で仲間を見つける
  • オンラインコミュニティ
  • 趣味のサークル
  • 共通の興味を持つ人とつながる
  • 学校だけが全てではない

保護者がこのような機会を作ることで、子どもは居場所を見つけられます。

学校との連携

個別の配慮を依頼する

子どもの特性を伝え、友達関係への配慮を依頼することが重要です。

実践のポイント

  • 友達関係が苦手であることを伝える
  • ソーシャルスキルの指導を依頼する
  • グループ分けでの配慮を求める
  • 孤立しないよう見守ってもらう
  • 定期的に状況を共有する

保護者が学校と連携することで、学校でのサポートが受けられます。

スクールカウンセラーの活用

スクールカウンセラーに相談することも有効です。

実践のポイント

  • 友達関係の悩みを相談する
  • ソーシャルスキルの指導を受ける
  • 心のケアをしてもらう
  • 定期的に話す機会を作る
  • 専門家の視点を得る

保護者がカウンセラーを活用することで、多角的な支援が受けられます。

支援級の検討

通常級での孤立が続く場合、支援級も選択肢です。

実践のポイント

  • 少人数で手厚い支援
  • 同じような特性の子と出会える
  • 安心して過ごせる環境
  • 交流級で通常級とも関わる
  • 子どもに合った環境を選ぶ

保護者が柔軟に環境を考えることで、子どもが安心して過ごせます。

実際の場面での対応例

【場面1】一人で過ごしていると聞いて心配

❌保護者の悪い対応:友達を作りなさい、一人は寂しいでしょと言う

✅保護者の良い対応:一人でも楽しく過ごせているか確認する。無理に友達を作らせようとしない。一人が好きならそれでもいいと認める。本人が友達がほしいと言うなら、ソーシャルスキルを教える

保護者のポイント

  • 本人の気持ちを確認
  • 無理強いしない
  • 一人も認める

【場面2】いじめられていると分かった

❌保護者の悪い対応:我慢しなさい、やり返しなさいと言う

✅保護者の良い対応:すぐに学校に連絡する。子どもの話をしっかり聞く。味方だと伝える。学校と協力して対応する。改善しない場合は転校も検討する

保護者のポイント

  • すぐに行動する
  • 味方になる
  • 子どもを守る

【場面3】空気が読めず、友達に嫌がられる

❌保護者の悪い対応:空気を読みなさいと叱る

✅保護者の良い対応:具体的に何がまずかったか教える。相手がこう言ったら、こうするよと具体的なパターンを教える。ロールプレイで練習する

保護者のポイント

  • 具体的に教える
  • 練習する
  • 責めない

【場面4】友達がいないことを本人が気にしている

❌保護者の悪い対応:友達を作るのは簡単だよ、頑張ればできるよと言う

✅保護者の良い対応:友達がほしいんだねと気持ちを受け止める。ソーシャルスキルを一緒に学ぼうと提案する。療育や習い事で仲間を見つける機会を作る。焦らずゆっくり進める

保護者のポイント

  • 気持ちを受け止める
  • 一緒に学ぶ
  • 焦らない

【場面5】グループに入れず、遠足が苦痛

❌保護者の悪い対応:自分から入りなさいと言うだけ

✅保護者の良い対応:学校に相談し、グループ分けで配慮してもらう。一人にならないよう先生に見守ってもらう。必要なら保護者も付き添う

保護者のポイント

  • 学校と相談する
  • 配慮を求める
  • 子どもを守る

療育現場での実例

ある8歳の子どもは、学校でいつも一人でした。休み時間は図書室で本を読み、給食は一人で食べ、遠足ではいつも先生と一緒でした。友達に話しかけても、相手にされず、時には笑われることもありました。

保護者は、この子には友達ができないのかと悲しんでいました。本人も、友達がほしいと言い、学校に行くのが辛いと訴え始めました。

療育で、ソーシャルスキルトレーニングを始めました。挨拶の仕方、話しかけ方、断り方、謝り方。具体的なパターンをロールプレイで練習しました。

また、学校にも相談し、スクールカウンセラーと定期的に話す機会を作ってもらいました。グループ分けでは、優しい子と一緒になるよう配慮してもらいました。

さらに、共通の興味を持つ子と出会えるよう、プログラミング教室に通い始めました。そこで、同じようにゲームが好きな子と知り合い、少しずつ話すようになりました。

半年後、学校でも一人二人、話す子ができました。大勢の友達ではありませんでしたが、その子にとっては大きな進歩でした。

保護者は、友達の数ではなく、この子が安心して過ごせることが大切だと気づきました。一人二人でも、話せる相手がいることで、子どもの表情は明るくなったのです。

大切だったのは、ソーシャルスキルを具体的に教えたこと、学校と連携したこと、学校以外の居場所を作ったことでした。

友達関係は強制するものではない

子どもが友達ができず、一人でいることに、保護者は心を痛めます。しかし、友達の数が多いことが幸せとは限りません。

その子に合った人との関わり方があります。大勢の友達がいなくても、一人二人の信頼できる関係があれば十分です。一人でいることが心地よい子もいます。

ソーシャルスキルを教えることは大切です。しかし、無理に友達を作らせようとすることは、子どもを苦しめます。

いじめには毅然と対応する必要があります。子どもの安全と心の健康が最優先です。学校と協力し、必要なら環境を変える勇気も必要です。

そして何より、保護者が子どもの味方であること、一人でも、友達が少なくても、あなたは価値がある人間だと伝え続けることが、最も大切なのです。

保護者が友達関係を強制せず、その子なりの人との関わり方を尊重し、いじめには毅然と対応し、子どもの味方であり続けることで、子どもは安心して成長し、いつか自分に合った形で人とつながっていけるようになるでしょう。

今日も友達関係に悩む子どもと保護者がいます。その時、友達の数ではない、その子に合った関わり方がある、いじめは絶対に許さない、あなたは一人でも価値があるという視点を持つことで、保護者の心は少し軽くなり、子どもは自分を肯定でき、親子で前を向いて歩んでいけるようになるに違いありません。

療育コンサル 中山 のぞみ
D&I株式会社取締役兼療育センター長
プロフィールを見る 専門家ブログ一覧