偏食がひどくて、食べられるものが数種類しかない。。。無理なく食べられるものを増やす工夫
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偏食がひどくて、食べられるものが数種類しかない。。。無理なく食べられるものを増やす工夫

2026年3月6日 更新:2026年5月18日

白いご飯と唐揚げしか食べない。野菜は一切口にしない。特定のメーカーのパンしか受け付けない。少しでも見た目や味が違うと、口に入れた瞬間に吐き出してしまう。新しい食べ物を見ただけで泣き出す。食べられるものが数種類しかなく、毎日同じものばかり食べている。

発達支援が必要な子どもの中には、極端な偏食を示す子どもが少なくありません。保護者は、栄養が偏らないか心配し、無理にでも食べさせようとして親子で食卓が戦場になることもあります。周囲からは、好き嫌いをさせている、甘やかしている、しつけができていないと責められることもあるでしょう。

学校の給食では、食べられるものがほとんどなく、昼食時間が苦痛になっている子どももいます。保護者は、この先ずっとこのままなのか、社会に出た時に困るのではないかと不安を感じます。

しかし、子どもの偏食は、わがままでも好き嫌いでもありません。感覚過敏、不安、過去の経験など、その子なりの理由があるのです。保護者が偏食の背景を理解し、無理強いせず、その子のペースで少しずつ食べられるものを増やしていくことで、食事の時間は苦痛から楽しみへと変わっていきます。

偏食の背景にあるもの

味覚の過敏性

発達支援が必要な子どもの中には、味覚が非常に敏感な子どもがいます。

わずかな苦味、酸味、辛味を強く感じ取り、それが苦痛になります。大人には気にならない程度の味の違いも、その子には大きな違いとして感じられるのです。特定のメーカーの食品しか食べられないのは、わずかな味の違いを敏感に感じ取っているからです。

食感への過敏性

食感に対する過敏性も、偏食の大きな原因です。

ぬるぬるした食感、ざらざらした食感、繊維質な食感、粒々した食感。それぞれの食感が、その子には耐え難い不快感をもたらします。野菜が食べられない子どもの多くは、野菜の繊維質な食感が苦手なのです。

匂いへの過敏性

食べ物の匂いに敏感な子どももいます。

野菜の青臭さ、魚の生臭さ、肉の匂い、調味料の匂い。様々な匂いが混ざった給食の匂いが苦手で、食堂に入れない子どももいます。匂いだけで吐き気を感じることもあります。

見た目への不安

食べ物の見た目が、不安や恐怖を引き起こすこともあります。

混ざっているもの、色が濃いもの、形が不揃いなもの、知らないもの。見慣れないものを口に入れることへの強い不安があるのです。白いご飯や麺類など、シンプルな見た目のものを好む傾向があります。

過去のネガティブな経験

以前、無理やり食べさせられて苦しかった、吐いてしまった、叱られたという経験があると、食事そのものが恐怖になります。

その食べ物を見るだけで、その時の嫌な記憶がよみがえり、拒否反応を示すようになります。

予測できないことへの不安

新しい食べ物は、どんな味か、どんな食感か予測できません。

予測できないことへの不安が強い子どもは、新しいものを試すことができないのです。いつも同じものを食べることで、安心を得ています。

口腔機能の問題

咀嚼や嚥下の機能が未発達で、うまく噛めない、飲み込めないことが偏食につながることもあります。

柔らかいものしか食べられない、よく噛まないと飲み込めないものは避ける。機能的な問題が、偏食として現れているのです。

栄養欲求の鈍さ

体が必要としている栄養を感じ取る力が弱い子どももいます。

お腹が空いたという感覚が弱い、満腹感が分かりにくい、栄養バランスを体が求めない。そのため、同じものばかり食べ続けることに抵抗がありません。

無理強いが生む悪循環

食卓が戦場になる

保護者が無理に食べさせようとすると、食事の時間が親子の戦いになります。

食べなさい、一口だけでも、残さないでと言われ続けると、子どもは食事の時間が嫌いになります。泣きながら口に入れる、吐き出す、怒られる。そのような経験が、さらに偏食を悪化させます。

食事への恐怖が強まる

無理強いされた経験は、食事そのものへの恐怖を生みます。

食卓に座ることすら嫌がる、食事の時間になると隠れる、お腹が空いても食べたくないと言う。食事が楽しいものではなく、苦痛なものになってしまうのです。

親子関係の悪化

食事をめぐる対立が続くと、親子関係全体が悪化します。

食事以外の場面でも、保護者の言うことを聞かなくなる、反抗的になる、信頼関係が損なわれる。食事の問題が、子育て全体に影響してしまいます。

新しいものへの拒否感の強化

無理に食べさせられた経験があると、新しいものへの拒否感がさらに強まります。

また無理やり食べさせられるのではないかという不安から、新しいものを一切受け付けなくなります。偏食が固定化してしまうのです。

偏食への適切な関わり方

食べられるものを認める

まず、今食べられているものを認め、否定しないことが大切です。

実践のポイント

  • 白いご飯だけでも食べられていることを認める
  • 少ないながらも食べているものがあることを評価する
  • 食べられないことを責めない
  • 食べられるものを用意する
  • 安心して食べられる環境を作る

保護者がこのような姿勢を持つことで、子どもは食事の時間を安心して過ごせます。

無理強いしない

無理に食べさせようとせず、子どものペースを尊重することが重要です。

実践のポイント

  • 一口だけでもと強要しない
  • 食べなくても叱らない
  • 残しても責めない
  • 食べたくないものは食べなくていい
  • プレッシャーをかけない

保護者が無理強いしないことで、食事への恐怖が和らぎます。

見るだけ、触るだけから始める

食べることを目標にせず、まずは見る、触ることから始めます。

実践のポイント

  • 新しい食べ物を食卓に並べる
  • 見るだけでOK
  • 触ってみるだけでもOK
  • 匂いを嗅ぐだけでもOK
  • 食べなくても褒める

保護者がこのような段階的アプローチをすることで、新しいものへの抵抗が減ります。

調理方法を工夫する

同じ食材でも、調理方法を変えることで食べられることがあります。

実践のポイント

  • 細かく刻む、ペースト状にする
  • 揚げる、焼く、蒸すなど調理法を変える
  • 好きなものに混ぜる
  • 見た目を変える
  • 食感を変える

保護者が調理を工夫することで、食べられるものが増える可能性があります。

好きなキャラクターや遊びを活用する

楽しい雰囲気の中で、新しいものを試すことも有効です。

実践のポイント

  • 好きなキャラクターの食器を使う
  • 一緒に料理する
  • ピクニック気分で食べる
  • ゲーム感覚で試す
  • 楽しい雰囲気を作る

保護者が楽しい工夫をすることで、食事への抵抗が減ります。

小さな成功を褒める

新しいものを見た、触った、少しでも口に入れた、それだけで十分な成功です。

実践のポイント

  • 見られただけでも褒める
  • 触れただけでも褒める
  • 舐めただけでも褒める
  • 一口食べたら大いに褒める
  • 小さな一歩を認める

保護者が小さな成功を認めることで、子どもは次も挑戦しようと思えます。

時間をかける

偏食の改善には、長い時間がかかります。

実践のポイント

  • 焦らない
  • 今日明日で変わらないと理解する
  • 数ヶ月、数年単位で考える
  • 少しずつ進めばいい
  • 後戻りもあると理解する

保護者が長期的な視点を持つことで、焦りが軽減されます。

栄養面の心配への対処

完璧な栄養バランスを求めない

偏食があっても、意外と子どもは育ちます。

実践のポイント

  • 完璧な栄養は必要ない
  • 食べられるものだけでもある程度の栄養は取れる
  • 成長曲線を確認する
  • 極端に体重が減っていなければ大丈夫
  • 過度な心配をしない

保護者がこの視点を持つことで、不安が軽減されます。

医師や栄養士に相談する

栄養面が本当に心配な場合、専門家に相談することが大切です。

実践のポイント

  • 小児科医に相談する
  • 栄養士に相談する
  • 必要ならサプリメントを検討する
  • 定期的に成長を確認する
  • 専門家の意見を聞く

保護者が専門家に相談することで、客観的な評価が得られます。

飲み物で補う

食べ物で取れない栄養を、飲み物で補うことも選択肢です。

実践のポイント

  • 牛乳、豆乳、ヨーグルトドリンク
  • 野菜ジュース、果物ジュース
  • 栄養補助飲料
  • 飲めるものを活用する
  • 無理のない方法で栄養を補う

保護者が飲み物を活用することで、栄養面の不安が減ります。

学校給食への対応

学校に相談する

給食が食べられないことを、学校に相談することが重要です。

実践のポイント

  • 偏食の理由を説明する
  • 感覚過敏であることを伝える
  • 無理に食べさせないでほしいと依頼する
  • 弁当持参を相談する
  • 配慮を求める

保護者が学校と相談することで、子どもの給食時間の苦痛が軽減されます。

弁当持参も選択肢

給食が全く食べられない場合、弁当を持参することも可能です。

実践のポイント

  • 学校に弁当持参を申請する
  • 食べられるものを持たせる
  • 栄養バランスより食べられることを優先
  • 無理のない範囲で用意する
  • 給食時間を安心して過ごせるようにする

保護者が弁当を用意することで、子どもは安心して昼食を取れます。

給食の一部を食べる

全部は無理でも、一部だけ食べることを目標にすることも有効です。

実践のポイント

  • ご飯だけ、パンだけでもOK
  • 飲み物だけでもOK
  • 食べられるものだけ食べる
  • 完食を目標にしない
  • 少しでも食べられたら成功

保護者と学校が協力して柔軟に対応することで、子どもの負担が減ります。

実際の場面での対応例

【場面1】野菜を全く食べず、栄養が心配

❌保護者の悪い対応:野菜を食べないと病気になるよ、と脅して無理やり食べさせる

✅保護者の良い対応:野菜ジュースや果物で代替する。細かく刻んで好きな料理に混ぜる。無理に野菜そのものを食べさせようとしない。成長曲線を確認し、極端に問題なければ様子を見る

保護者のポイント

  • 代替案を考える
  • 無理強いしない
  • 成長を確認する

【場面2】新しい食べ物を見ただけで泣く

❌保護者の悪い対応:泣かないで、見るだけでしょ、と無理に近づける

✅保護者の良い対応:無理に見せない。まずは遠くに置いておく。慣れたら少し近づける。触らなくていい、見なくてもいいと伝える。時間をかけて慣れさせる

保護者のポイント

  • 無理をしない
  • 段階的に進める
  • 時間をかける

【場面3】給食が食べられず、昼食時間が苦痛

❌保護者の悪い対応:給食くらい食べなさい、みんな食べているでしょ、と叱る

✅保護者の良い対応:学校に相談し、食べられるものだけ食べる、弁当持参を検討する。給食時間が苦痛にならないよう配慮を求める

保護者のポイント

  • 学校と相談する
  • 柔軟に対応する
  • 子どもを守る

【場面4】周囲から好き嫌いを許していると言われる

❌保護者の悪い対応:周囲の言葉に傷つき、無理やり食べさせようとする

✅保護者の良い対応:これは感覚過敏で、好き嫌いではないと説明する。理解されなくても、子どもを守ることを優先する。周囲の評価より子どもの安心を優先

保護者のポイント

  • 説明する
  • 理解されなくても気にしない
  • 子どもを優先する

【場面5】同じものばかり食べて飽きないのか心配

❌保護者の悪い対応:たまには違うものを食べなさい、と無理に変えようとする

✅保護者の良い対応:同じものを食べることで安心しているのだと理解する。無理に変えず、その子のペースを尊重する。栄養面を専門家に確認する

保護者のポイント

  • 安心を尊重する
  • 無理に変えない
  • 専門家に相談する

療育現場での実例

ある5歳の子どもは、白いご飯と唐揚げ、ポテトフライ、特定のメーカーのパンしか食べませんでした。野菜は一切食べず、果物も拒否し、新しいものを見ると泣き出しました。

保護者は、栄養が心配で、毎食無理やり野菜を口に入れようとしていました。食事の時間は親子の戦いで、子どもは泣き叫び、保護者も疲れ果てていました。

栄養士に相談すると、まず無理強いをやめることを勧められました。食べられるものだけ食べさせる、新しいものは見せるだけでOK、食事を楽しい時間にすることを優先してくださいと言われたのです。

最初は不安でしたが、保護者は無理強いをやめました。食卓には新しいものを置きますが、食べなくても何も言いません。見ただけ、触っただけで褒めるようにしました。

3ヶ月後、子どもは初めて新しいものを口に入れました。フライドポテトに似ているかぼちゃの天ぷらでした。一口だけでしたが、保護者は大喜びしました。

それから少しずつ、似たような食感のものを試すようになり、1年後には食べられるものが10種類以上に増えていました。まだ偏食はありましたが、以前に比べれば大きな進歩でした。

何より、食事の時間が楽しくなり、親子で笑いながら食べられるようになったことが大きな変化でした。

保護者は、無理強いをやめて本当に良かった、焦らず時間をかけたことで、子どもは自分から挑戦できるようになったと語ってくれました。

大切だったのは、無理強いせず、子どものペースを尊重し、小さな成功を認めたことでした。

偏食は時間をかけて改善できる

子どもの極端な偏食に直面した保護者は、栄養面の心配、周囲からの批判、将来への不安で苦しみます。

しかし、偏食は好き嫌いやわがままではなく、感覚過敏や不安など、その子なりの理由があるのです。無理に食べさせようとすると、かえって悪化します。

食べられるものを認める、無理強いしない、見るだけから始める、調理を工夫する、楽しい雰囲気を作る、小さな成功を褒める。そのような関わりによって、子どもは少しずつ食べられるものを増やしていけます。

完璧な栄養バランスを求める必要はありません。食べられるものだけでも、子どもは育ちます。何より大切なのは、食事の時間が楽しいものであることです。

偏食の改善には時間がかかります。焦らず、子どものペースで、長い目で見守ることが大切です。そして、栄養面が本当に心配な時は、専門家に相談すればいいのです。

保護者が無理強いせず、子どものペースを尊重し、小さな変化を喜びながら関わることで、子どもは食事への恐怖を手放し、少しずつ新しいものに挑戦できるようになり、食事の時間は親子の楽しい時間になっていくでしょう。

今日も子どもの偏食に悩んでいる保護者がいると思います。その時、これは感覚過敏であり好き嫌いではない、無理強いしなくていい、時間をかけていい、完璧な栄養は必要ない、食事を楽しい時間にすることが一番大切という視点を持つことで、保護者の心は少し軽くなり、子どもへの関わり方も優しくなり、親子で笑顔で食卓を囲めるようになっていくに違いありません。

療育コンサル 中山 のぞみ
D&I株式会社取締役兼療育センター長
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