不器用で、箸も鉛筆もうまく使えない。。。運動も苦手。。。どうすればいい?
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不器用で、箸も鉛筆もうまく使えない。。。運動も苦手。。。どうすればいい?

2026年2月12日 更新:2026年5月18日

箸を使って食べることができない、鉛筆を正しく持てない、ボタンをかけられない、靴紐が結べない。細かい作業が苦手な子どもがいます。また、走るのが遅い、ボールが投げられない、バランスが悪くてよく転ぶ、自転車に乗れない。体を動かすことも苦手な子どもがいます。

保護者は、この子は不器用だから仕方ない、運動神経が悪いのだと諦めてしまうこともあります。または、もっと練習させなければ、訓練しなければと焦ることもあるでしょう。周囲から、練習不足だ、もっとやらせるべきだと言われることもあります。

しかし、子どもの不器用さには理由があり、それは単なる練習不足ではありません。運動発達の特性を理解し、その子に合った方法で支援していくことで、子どもは少しずつできることを増やしていけるのです。

保護者が不器用さの背景を理解し、無理なく楽しみながら練習できる環境を作ることで、子どもは自信を持って体を動かせるようになっていきます。

微細運動と粗大運動の発達

微細運動とは

微細運動とは、手指を使った細かい動きのことです。

箸を使う、鉛筆を持つ、ボタンをかける、ハサミで切る、折り紙を折る、ビーズを通すなど、日常生活や学習に必要な動作です。微細運動は手指の器用さだけでなく、視覚と手の協調、力加減の調整なども必要とします。

粗大運動とは

粗大運動とは、体全体を使った大きな動きのことです。

走る、跳ぶ、登る、投げる、蹴る、バランスをとるなど、遊びや運動に関わる動作です。粗大運動は筋力、バランス感覚、体の使い方、空間認識などが関係します。

発達の順序

運動発達は、一般的に粗大運動から微細運動へと進みます。

まず体全体を使った大きな動きができるようになり、その後、手指を使った細かい動きができるようになります。粗大運動の発達が不十分だと、微細運動の発達にも影響が出ることがあるのです。

個人差の大きさ

運動発達には大きな個人差があります。

早い子もいれば遅い子もいる、得意な動きもあれば苦手な動きもある。それは発達の正常な範囲内のことです。しかし、発達支援が必要な子どもは、運動発達全体が緩やかであることが多いと言われています

不器用さの背景にあるもの

協調運動の困難

体を動かすには、複数の筋肉や関節を協調させる必要があります。

発達支援が必要な子どもは、この協調がうまくいかず、ぎこちない動きになることがあります。体のパーツを別々に動かすことはできても、それを統合して滑らかに動かすことが難しいのです。

ボディイメージの未発達

自分の体がどこにあるのか、体の各部位がどう動くのかという感覚をボディイメージといいます。

発達支援が必要な子どもは、このボディイメージが弱く、自分の体をうまくコントロールできないことがあります。どのくらい力を入れればいいのか、どう動かせばいいのかが分からない場合も多くあります。

視覚と運動の協調の困難

目で見た情報と体の動きを協調させることが難しい子どもがいます。

ボールを見ていても、それをキャッチするために手をどう動かせばいいか分からない。線を見ていても、それをなぞるように鉛筆を動かせない。視覚情報を運動に変換することが困難です。

筋緊張の問題

筋肉の張りが弱すぎる、または強すぎることが不器用さの原因になります。

筋緊張が低いと、姿勢を保つことが難しく、力が入りにくくなります。筋緊張が高いと、体が硬く、滑らかな動きができなくなります。

バランス感覚の問題

バランスをとることが苦手な子どもは、運動全般に困難を抱えます。

立っているだけでも不安定、片足で立てない、階段の上り下りが怖い。バランス感覚は、前庭覚という感覚と深く関係しており、その発達が緩やかな子どももいます。

固有覚の問題

自分の体の位置や動きを感じる感覚を固有覚といいます。

固有覚が弱いと、どのくらい力を入れているのか、体がどう動いているのかが分かりにくくなります。その結果、力加減ができない、ぎこちない動きになる、よくぶつかるといったことが起こります。

注意や集中の問題

運動には、注意を向けること、集中することも必要です。

発達支援が必要な子どもは、注意が散りやすく、一つの動作に集中し続けることが難しいことがあります。そのため、練習が続かず、上達が遅れることがあります。

不安や自信のなさ

過去の失敗体験から、体を動かすことに不安や恐怖を感じている子どももいます。

やってもうまくいかない、笑われる、叱られる。そのような経験が積み重なると、子どもは新しい動きに挑戦することを避けるようになり、ますます不器用になっていきます。

生活の中でできる微細運動の練習

無理強いせず、楽しみながら

練習は、訓練ではなく遊びの中で楽しく行うことが大切です。

実践のポイント

  • 子どもが興味を持つ活動を選ぶ
  • 遊びの延長として取り入れる
  • できたことを褒める
  • できないことを責めない
  • 嫌がったら無理をしない

保護者がこのような姿勢で関わることで、子どもは楽しみながら練習できます。

粘土遊び

粘土は手指の力をつけるのに最適な遊びです。

実践のポイント

  • こねる、丸める、伸ばす、ちぎる
  • 好きなものを作る
  • 型抜きを使う
  • 指先で細かい形を作る
  • 様々な硬さの粘土を試す

保護者が一緒に粘土遊びをすることで、楽しみながら手指の力が育ちます。

ビーズ通し、ひも通し

ビーズやボタンをひもに通す遊びは、指先の器用さを育てます。

実践のポイント

  • 最初は大きなビーズから
  • 徐々に小さなビーズに
  • パターンを作る
  • ネックレスやブレスレットを作る
  • 達成感を味わえる

保護者がこのような活動を提供することで、集中力と器用さが育ちます。

お絵かき、塗り絵

鉛筆やクレヨンを使う活動は、筆圧や運筆の練習になります。

実践のポイント

  • 最初は自由に描く
  • 太いクレヨンから始める
  • 徐々に細いものに移行
  • 塗り絵で枠内を塗る練習
  • 線をなぞる練習

保護者が一緒に楽しむことで、描くことへの抵抗が減ります。

ハサミの練習

ハサミを使うことは、手指の協調性を高めます。

実践のポイント

  • 安全なハサミを選ぶ
  • 最初は一回切り(短い線を切る)
  • 直線切り、曲線切りへと進む
  • 形を切り抜く
  • 切ったもので作品を作る

保護者が見守りながら練習することで、安全に上達できます。

折り紙

折り紙は、視覚と手の協調、指先の器用さを育てます。

実践のポイント

  • 簡単な折り方から始める
  • 保護者が手本を見せる
  • 一緒に折る
  • できた作品を飾る
  • 徐々に複雑なものに挑戦

保護者が一緒に折ることで、楽しみながら器用さが育ちます。

日常生活動作の練習

日常生活の中にも、微細運動の練習になることがたくさんあります。

実践のポイント

  • ボタンかけ、ファスナー、スナップボタン
  • 靴紐結び(最初はマジックテープから)
  • 歯磨き、顔を拭く
  • スプーンから箸への移行
  • 時間をかけて見守る

保護者が焦らず見守ることで、生活の中で自然に練習できます。

生活の中でできる粗大運動の練習

公園遊び

公園での遊びは、様々な運動の練習になります。

実践のポイント

  • ブランコ、滑り台、鉄棒、ジャングルジム
  • 砂場での遊び
  • 追いかけっこ
  • ボール遊び
  • 子どもが楽しめる遊びを選ぶ

保護者が一緒に遊ぶことで、安心して体を動かせます。

トランポリン遊び

トランポリンは、バランス感覚と体幹を鍛えます。

実践のポイント

  • 家庭用の小さなトランポリンでもOK
  • ジャンプする
  • 座ってバウンドする
  • 片足で立つ
  • 楽しみながら続ける

保護者が安全に配慮しながら、楽しく運動できます。

バランス遊び

バランスをとる遊びは、運動の基礎を作ります。

実践のポイント

  • 平均台歩き(線の上を歩くでもOK)
  • 片足立ち
  • ケンケン
  • バランスボール
  • 徐々に難易度を上げる

保護者が手を貸しながら、少しずつバランス感覚が育ちます。

ボール遊び

ボールを使った遊びは、協調運動の練習になります。

実践のポイント

  • 最初は大きくて柔らかいボール
  • 転がす、投げる、キャッチする
  • 距離を調整する
  • 的当てゲーム
  • 成功体験を増やす

保護者が一緒に遊ぶことで、楽しみながら上達します。

ダンスやリズム遊び

音楽に合わせて体を動かすことは、楽しく運動できます。

実践のポイント

  • 好きな音楽に合わせて踊る
  • 手遊び歌
  • リズムに合わせてジャンプ
  • 真似っこダンス
  • 楽しさを優先する

保護者が一緒に踊ることで、体を動かす楽しさを感じられます。

自転車練習

自転車に乗れるようになることは、大きな自信につながります。

実践のポイント

  • ペダルなし自転車(バランスバイク)から始める
  • 補助輪付き自転車
  • 徐々に補助輪を外す
  • 焦らず、子どものペースで
  • 乗れなくても責めない

保護者が根気よく付き合うことで、いつか乗れる日が来ます。

専門的な支援の活用

作業療法士への相談

不器用さが顕著な場合、作業療法士に相談することが有効です。

実践のポイント

  • 運動発達の評価を受ける
  • 具体的な訓練プログラムを教えてもらう
  • 感覚統合療法を受ける
  • 家庭でできる練習方法を学ぶ

保護者が専門家の助けを借りることで、効果的な支援ができます。

理学療法士への相談

粗大運動の困難が大きい場合、理学療法士に相談することも選択肢です。

実践のポイント

  • 姿勢や歩行の評価
  • 筋力やバランスの評価
  • 運動プログラムの提案
  • 定期的な経過観察

保護者が専門家と連携することで、適切な運動支援ができます。

療育での運動プログラム

療育施設では、運動に特化したプログラムがあります。

実践のポイント

  • 感覚統合を重視した活動
  • 小集団での運動遊び
  • 段階的な目標設定
  • 楽しみながらの訓練

保護者が療育を活用することで、専門的な支援が受けられます。

学校生活での配慮

学校への相談

学校での困難について、担任や支援担当の先生に相談することが大切です。

実践のポイント

  • 具体的にどんな困難があるか伝える
  • 家庭での取り組みを共有する
  • 学校でできる配慮を相談する
  • 定期的に情報交換する

保護者と学校が連携することで、一貫した支援ができます。

体育での配慮

体育の授業で配慮してもらえることがあります。

実践のポイント

  • ルールの簡略化
  • 補助具の使用
  • チーム編成の工夫
  • 個別の目標設定
  • 努力を評価してもらう

保護者が学校と相談することで、子どもが体育を楽しめるようになります。

書字の配慮

字を書くことが困難な場合、配慮を求めることができます。

実践のポイント

  • 書く量を減らす
  • 補助具(三角鉛筆、グリップなど)の使用
  • マス目の大きなノート
  • デジタル機器の活用
  • 本人の負担を軽減する

保護者がこのような配慮を求めることで、学習への意欲が保たれます。

実際の場面での対応例

【場面1】箸が使えず、手づかみで食べる

❌保護者の悪い対応:もう大きいんだから箸を使いなさい、と無理やり箸を持たせる

✅保護者の良い対応:まずはスプーンやフォークを上手に使えることを目指す。箸への移行は焦らず、補助箸から始める。家では手づかみでもOK、外食時だけスプーンにするなど柔軟に対応する

保護者のポイント

  • 段階的に進める
  • 焦らない
  • 柔軟に対応する

【場面2】鉛筆が正しく持てず、字が書きにくそう

❌保護者の悪い対応:何度教えても持ち方が変わらないと叱る

✅保護者の良い対応:三角鉛筆やグリップを使う。正しい持ち方を強要せず、その子が書きやすい持ち方を尊重する。無理に直そうとせず、書くことが嫌いにならないことを優先する

保護者のポイント

  • 補助具を活用する
  • 持ち方より書けることを優先
  • 嫌いにさせない

【場面3】ボール遊びが苦手で、体育の時間を嫌がる

❌保護者の悪い対応:練習不足だから、と無理やり公園でボール練習をさせる

✅保護者の良い対応:まずは大きくて柔らかいボールで、転がす遊びから始める。できたことを褒める。体育が苦手でも他に得意なことがあると伝える。学校に配慮を依頼する

保護者のポイント

  • 段階的に始める
  • 得意なことを認める
  • 学校と相談する

【場面4】よく転ぶ、バランスが悪い

❌保護者の悪い対応:ちゃんと前を見て歩きなさい、と注意ばかりする

✅保護者の良い対応:バランス感覚の発達が緩やかなのだと理解する。家でバランス遊びを取り入れる。転びやすい場所では手を繋ぐ。作業療法士に相談する

保護者のポイント

  • 特性を理解する
  • 遊びで練習する
  • 専門家に相談する

【場面5】不器用で自信を失っている

❌保護者の悪い対応:できないことばかりに目を向けて、もっと練習しなさいと言う

✅保護者の良い対応:できることに目を向けて褒める。できないことは、今はまだできないだけ、いつかできるようになると伝える。得意なことを伸ばす。不器用でも価値がある人間だと伝える

保護者のポイント

  • できることを認める
  • 焦らない
  • 自己肯定感を守る

療育現場での実例

ある7歳の子どもは、箸が使えず、鉛筆も握るように持ち、ボタンもかけられませんでした。学校の体育では、走るのが一番遅く、ボールも投げられず、いつも笑われていました。

保護者は、もっと厳しく訓練しなければと思い、毎日箸の練習、鉛筆の練習、縄跳びの練習を強制していました。しかし、子どもは練習を嫌がり、自信を失い、何をするにも私はできないと言うようになりました。

作業療法士に相談すると、この子は筋緊張が低く、固有覚が弱いこと、視覚と運動の協調が苦手なことが分かりました。そして、無理な訓練よりも、楽しみながら体を動かすことの大切さを教えられました。

保護者は方針を変え、強制的な練習をやめました。代わりに、粘土遊び、お絵かき、公園での遊び、トランポリンなど、子どもが楽しめる活動を増やしました。

最初は変化がありませんでしたが、数ヶ月後、少しずつ変化が現れ始めました。粘土で力がつき、箸を使えるようになりました。お絵かきで筆圧が安定し、字が書きやすくなりました。トランポリンでバランス感覚が育ち、転ぶことが減りました。

1年後、この子は以前より格段に器用になっていました。まだ同年齢の子と比べると不器用ですが、自分なりにできることが増え、自信を取り戻していたのです。

保護者は、強制的な訓練をしていた時は逆効果だったけれど、楽しみながら練習したことで、こんなに変われるとは思いませんでしたと語ってくれました。

大切だったのは、訓練ではなく遊び、強制ではなく楽しみ、その子のペースを尊重したことでした。

不器用さは個性であり、改善できるもの

子どもの不器用さに直面した保護者は、この先ずっとこうなのか、もっと訓練しなければと焦りを感じるかもしれません。

しかし、不器用さは適切な支援によって確実に改善していきます。そして、完全に器用になることを目指すのではなく、その子なりにできることを増やし、自信を持って生活できるようになることが大切なのです。

訓練ではなく遊び、強制ではなく楽しみ、その子のペースを尊重する。できないことより、できるようになったことに目を向ける。そのような関わりによって、子どもは少しずつ器用になり、自信を持って体を動かせるようになっていきます。

そして、不器用でもその子には他の素晴らしい才能があるかもしれません。不器用さは、その子の価値を下げるものではないのです。

保護者が焦らず、楽しみながら、その子のペースで支援することで、子どもは自分なりに成長し、できることを増やし、自信を持って生きていけるようになるでしょう。

今日も子どもの不器用さに悩んでいる保護者がいると思います。その時、焦らなくていい、楽しみながらでいい、その子のペースでいい、不器用でも価値があるという視点を持つことで、保護者の心は少し軽くなり、子どもへの関わり方も優しくなり、親子で楽しみながら成長していけるようになるに違いありません。

療育コンサル 中山 のぞみ
D&I株式会社取締役兼療育センター長
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