発達支援が必要な子どもと、そうでない子どもとの保護者の関わり
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発達支援が必要な子どもと、そうでない子どもとの保護者の関わり

2026年1月27日 更新:2026年5月18日

複数の子どもがいる家庭で、発達支援が必要な子どもがいる場合、保護者は「その子により多くの時間と注意」を向けざるを得ないことがあります。結果として、発達支援が必要でない子どもが親からの注意が自分より兄弟姉妹に向いていると感じるようになります。

保護者は「仕方がない」と考えたり「兄弟姉妹は理解してくれるはず」と期待したりするかもしれません。しかし、実は子どもが親の注意が兄弟姉妹に向いていると感じることはその子の心に大きな傷を与える可能性があるのです。

保護者が「きょうだい全員に親の愛情が平等である」ということを言葉と行動で示すことで、各子どもが安心感を持ち、兄弟姉妹関係が良好に保たれていくことができます。

兄弟姉妹が感じる「親の注意の不平等」

発達支援が必要な子どもに時間が奪われている

発達支援が必要な子どもは「より多くのサポート」「より多くの時間」を必要とします。結果としてその他の兄弟姉妹は、親との時間が大きく削減されるのです。

これは親の愛情が不足しているからではなく、現実的な時間配分の問題なのですが、子どもにはそれが親の愛情の量の違いに見えてしまうことがあります。

親が「支援が必要な子ども」に感情を消費している

保護者が「発達支援が必要な子どもへの対応」で心身が疲弊している場合、その他の兄弟姉妹に対して十分な心理的な余裕を持つことが難しい場合もあります。

結果として、その他の子どもに対する親の態度が冷たく見えたり、無関心に見えたりすることがあり、それがきょうだいの心に傷を与えることになります。

親が「その他の子ども」に自立を求める

「支援が必要な子ども」に時間をかけるため、その他の子どもに対しては自分でできることは自分でしなさい、という期待が高まることがあります。

この期待の不平等性が、兄弟姉妹に差別的な扱いを感じさせることになります。

きょうだいが抱える心理状態

「親は自分より兄弟姉妹を愛しているのではないか」という不安

兄弟姉妹が、親の時間と注意が自分より兄弟姉妹に向いていると感じると、親は自分より兄弟姉妹を愛しているのではないかという深い不安を抱くようになる場合があります。

この不安は、子どもの自己肯定感を大きく損なうことになります。

「親に評価されていない」という感覚

兄弟姉妹が自分の頑張りや成功が親に見落とされていると感じると、親に評価されていないという感覚が形成されます。

この感覚が長期化すると、やがて自分の努力をしなくなるという行動につながることもあります。

「親への恨み」「ねたみ」が生まれる

兄弟姉妹が「親から不公平な扱いを受けていると感じる」と親への恨みやねたみが生まれ、やがて親との関係がぎくしゃくすることもあります。

この関係の悪化は、思春期以降より顕著になる傾向があります。

きょうだい全員への対応

「各子どもに個別の時間を作る」

最初に大切なのは、発達支援が必要な子ども以外にも親が個別に向き合う時間を意識的に作ることです。

実践のポイント

  • 週に一度は「その子だけ」の時間を作る
  • たとえ短くても「その子に全力で向き合う」
  • その時間は「その子のための時間」だと明確にする

保護者がこのような「個別の時間」を作ることで、子どもが親に見られていると感じます。

「各子どもの小さな成功を認める」

保護者が全ての子どもの小さな成功や日々の頑張りを、意識的に認識し言葉で伝えることが重要です。

実践のポイント

  • その日「その子が頑張ったことを」「必ず一つ認める」
  • 「自分のペースで成長しているね」と伝える
  • 兄弟姉妹との比較をしない

保護者がこのような「認め方」をすることで、各子どもが親に見られていると感じます。

「親自身の疲労やストレスを軽減させる」

根本的には保護者自身が心身の余裕を持つことが、きょうだい全員への『より良い対応』につながります。

実践のポイント

  • 親のストレス軽減を最優先にする
  • 周囲のサポートを積極的に求める
  • 親も「完璧である必要がない」と認識する

保護者が「自分の心身のケア」を大事にすることで、結果として子ども達への対応も『より良く』なります。

「兄弟姉妹に透明性を持たせる」

保護者が「なぜ兄弟姉妹により多くの時間をかけているのか?」を他の子どもたちに分かりやすく説明することが大切です。

実践のポイント

  • 「〇〇は今、このようなサポートが必要だからね」と説明する
  • 「だけどママはみんなを同じくらい愛しているんだよ」と繰り返し伝える
  • 「サポートの量と愛情の量は別だ」と理解させる

保護者がこのような「説明」をすることで、子ども達が状況を理解し納得しやすくなります。

「全員の役割を見つける」

各子どもが「家庭の中で自分の役割や自分の価値がある」と感じることが重要です。

実践のポイント

  • 「あなたはこのようなことが得意だね」と認識させる
  • 「家族の中で、あなたの役割はここだね」と示す
  • 「それぞれが違う役割を持っている」と説明する

保護者がこのような「役割の確認」をすることで、各子どもが家族の中での価値を感じます。

「感謝」を言葉で表現する

保護者が「兄弟姉妹の理解や協力に感謝する」ことを忘れずに言葉で伝えることが大切です。

実践のポイント

  • 「〇〇ちゃんが兄弟姉妹のことを応援してくれてありがとうね」と伝える
  • 「あなたの気配りが、とてもママを助けてくれている」と感謝する
  • 「あなたのような子がいてママは幸せだ」と表現する

保護者がこのような「感謝の表現」をすることで、兄弟姉妹が親から値打ちのある存在として見られていると感じるようになります。

実際の場面での対応例

【場面1】兄弟姉妹が「ママはいつも〇〇ばかり」と言う場合

❌保護者の悪い対応: そんなことない、と否定する

✅保護者の良い対応: そっか、そう感じてるんだね。ママも時々そう感じることがあるよ。でもママはあなたのことも同じくらい愛してるんだよ、と伝える

保護者のポイント

  • 気持ちを受け止める
  • 理由を説明する
  • 愛情は平等だと繰り返し伝える

【場面2】兄弟姉妹が「ママは自分を見ていない」と感じている場合

❌保護者の悪い対応: そんなことない、と言うだけ

✅保護者の良い対応: その子の小さな成功や頑張りを意識的に認め「あなたが頑張ったことをママはちゃんと見てるよ」と繰り返し伝える

保護者のポイント

  • その子の行動を意識的に見守る
  • 成功を認める言葉をかける
  • 定期的に個別の時間を作る

療育現場での実例

ある家庭は、支援が必要な子どもへの対応に時間がかかり、その他のきょうだいが親から見落とされていました。結果として、兄弟姉妹が親への不信感を持つようになってしまいました。

保護者が、各子どもに個別の時間を作ることを開始し全員の成功を認めるという対応に変えたところ、きょうだい達が『親に見られている』と感じ始め、やがて親への信頼が回復していったと報告してくれました。

重要だったのは、保護者が全ての子どもに意識的に愛情を向けることだったのだと思われます。

親の「意識的な対応」が、きょうだい全員の心を守る

ここで大切な理解があります。

発達支援が必要な子どもへの対応に時間がかかることは仕方がないのですが、その他の子ども達に対して意識的に愛情や注意を向けることで全ての子どもの心を守ることができるのです。

保護者が、きょうだい全員が『親に愛されている』と感じられる環境を作ることで、兄弟姉妹関係が良好に保たれ親子関係も安定していきます。

今日も親の注意が兄弟姉妹に向いていると感じている子どもがいるでしょう。その時、親が意識的にその子に向き合うという対応をすることで、子どもは親に『大切にされている』と感じ、家族全体がより安定した関係へと進んでいくという良い循環が生まれていくに違いありません。

療育コンサル 中山 のぞみ
D&I株式会社取締役兼療育センター長
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