夜中に何度も「トイレ」と起きる子ども〜睡眠と排泄の発達、そして親のストレス対策〜
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夜中に何度も「トイレ」と起きる子ども〜睡眠と排泄の発達、そして親のストレス対策〜

2025年11月26日 更新:2026年5月18日

夜中に何度も「ママ、トイレ」と子どもが起きてくる。親は「また?」と心の中で思いながらも、子どもをトイレに連れていく。こんな夜が何日も、何ヶ月も続く——。多くの親は「これ、いつまで続くんだろう」という不安と「夜間の睡眠不足」からくるストレスに、疲弊しているのではないでしょうか。

しかし、実は「夜中に何度もトイレに起きる」というのは「子どもの発達過程において、ごく自然な現象」なのです。親が「これは異常ではなく、発達の一部」という理解を持つことで「親自身のストレス」も、大きく軽くなっていくかもしれません。

子どもが夜中に何度も起きる理由

膀胱の発達が、まだ途上である

子どもが夜中に何度も起きてトイレに行くのは「膀胱の容量」と「膀胱のコントロール機能」が、まだ発達途上にあるからです。

大人の膀胱は「一晩中、尿を溜めておく」ことができます。しかし、子どもの膀胱は「容量が小さい」「尿が溜まると、すぐに『出したい』という信号を出す」という状態にあるのです。

これは「子どもが怠けているからではなく」「脳と膀胱の発達が、まだこの段階」というだけなのです。

睡眠の質と排泄のサイクルが、未熟である

子どもの睡眠には「深い睡眠」と「浅い睡眠」があります。大人は「膀胱が満杯になっていても、深い睡眠中は目覚めない」という脳の機能が発達していますが、子どもはまだそうではありません。

子どもの脳は「膀胱が満杯になった信号」に対して「すぐに反応してしまう」という状態にあるのです。結果として「夜中に何度も目覚めてトイレに行く」ということが起こります。

夜間の「抗利尿ホルモン」の分泌が、不安定である

夜間に尿を減らすホルモンを「抗利尿ホルモン」と言います。このホルモンがしっかり分泌されると「夜間の尿量が減り」「朝まで寝られる」ようになります。

しかし、子どもの体では「このホルモンの分泌がまだ不安定」なため「夜間も尿が作られ続け」「膀胱が満杯になりやすい」という状態が続くのです。

ストレスや不安が、排泄行動を増加させることもある

新しい環境への適応、親の不安、生活の変化など「ストレス要因」があると「子どもの排泄行動が増加する」ことがあります。

つまり「夜中に何度も起きてトイレに行く」というのは「純粋に発達の問題」だけではなく「子どもの心理状態」が影響していることもあるのです。

夜中の排泄行動が親に与える影響

では、子どもの「夜中のトイレ」が親にもたらす影響について、考えてみましょう。

親の「睡眠不足」がもたらす、連鎖的なストレス

夜中に何度も起きるため「親の睡眠が分断される」という現実があります。この「睡眠不足」は「日中の親のストレス」「イライラ」「判断力の低下」につながっていきます。

親が睡眠不足で疲弊していると「子どもに対する対応」も変わり「結果として、子どもも不安になる」という悪循環が生まれることもあります。

「いつまで続くのか」という不安が、親の心を蝕む

親の中には「これがいつまで続くのか」という「見通しのつかなさ」からくる不安を持っている人が多いです。

「3年続いたら?」「就学までに治らなかったら?」という不安が「親の心の余裕」を奪い、親自身が疲弊していくのです。

「親の対応が間違っているのか」という自責感

親は「自分の育て方が悪いのか」「夜中に『トイレは朝でいいよ』と言うべきなのか」という「自責感」を持つことがあります。

この「自責感」が「親としての自信」を失わせ「子どもへの対応も消極的」になってしまうことがあります。

「夜中のトイレ」への親の対応

では、親は子どもの「夜中のトイレ」に、どのように向き合っていくといいのでしょうか。

「これは発達過程」と理解し、親自身の心を整える

最初に大切なのは「親の心の持ち方」です。夜中のトイレを「親の失敗」ではなく「子どもの発達過程」として捉えることが、親の心を整える第一歩になります。

実践のポイント

  • 「夜中のトイレは『異常』ではなく『発達途上』」と認識する
  • 「いつかは、治まる」という見通しを持つ
  • 「子どもが怠けているわけではない」と理解する

親が「この現象を自然なこと」と受け入れることで「心の余裕」が生まれ、子どもへの対応も柔らかくなっていくのです。

子どもに「罪悪感」を持たせないことが大切

「夜中に親を起こしてしまう」という現実の中で「子どもが罪悪感を持つ」ことは避けなければなりません。

実践のポイント

  • 「ごめんね。起こさせてしまって」という子どもの謝罪に「大丈夫よ。ママは、いつでもいるからね」と返す
  • 「トイレに行きたいのは、ごく自然」という親の姿勢を、態度で示す
  • 子どもが「申し訳なく思う」ことのないよう、親が配慮する

親の「許容的な態度」が「子どもの心を守る」ことになるのです。

夜中の対応を「ルーティン化」し、親の負担を減らす

夜中に「毎回、同じことをする」というルーティンを作ることで「親の心理的負担」を減らすことができます。

実践のポイント

  • トイレまでの「道」を暗いままにする(目を覚ましすぎないために)
  • トイレの後「子どもをベッドに戻す」という流れを「自動化」する
  • 親自身も「これはルーティン」と考え「いちいち反応しない」

親が「対応を習慣化」することで「心理的なストレス」が大きく減るのです。

夜中の排泄が「増加している時期」を認識する

「最近、夜中のトイレが増えた」という時期には「環境の変化」「ストレス」がないか、確認することが大切です。

実践のポイント

  • 新しい園や学校への入園・入学がないか
  • 親の不安が子どもに伝わっていないか
  • 生活環境に大きな変化がないか

子どもの排泄行動の変化を「心の信号」として読み取ることで「子どもが抱えているストレス」に気づくことができます。

「見通し」を持つことの大切さ

親が「いつまで続くのか」という不安を持っていると、その不安は子どもに伝わり「子ども自身も『これは問題なのか』と不安になる」という悪循環が生まれます。

実践のポイント

  • 「多くの子どもは、段階的に改善していく」という事実を知る
  • 医師や支援者に「見通し」を聞く
  • 「個人差があり、焦る必要はない」という理解を持つ

親が「見通しを持つ」ことで「心の余裕」が生まれ、その余裕が子どもにも伝わっていくのです。

親自身の「睡眠」も大事にする

夜中に何度も起きるのは「親にとって本当に大変」です。その「大変さ」を親自身が認め「親の睡眠」も大事にすることが重要です。

実践のポイント

  • 「親の睡眠不足」を軽視しない
  • 可能であれば「夜間対応を交代する」など、親の負担を分散させる
  • 日中に「短い睡眠」を確保するなど、工夫する
  • 親自身が「疲弊している」と感じたら「ためらわず、相談する」

親が「自分を大事にする」という選択が「結果として、子どもにも良い影響」を与えていくのです。

必要に応じて「医療機関」に相談する

夜中のトイレが「一概に発達の問題」ではなく「何か医学的な理由」がないか、確認することも大切です。

実践のポイント

  • 「夜尿症」などの医学的問題がないか、小児科医に相談する
  • 子どもの「不安」が大きい場合「心理士に相談する」
  • 「自分たちだけで抱え込まない」という選択をする

親が「プロの助言」を求めることで「親の不安」が軽くなり「より良い対応」が可能になるのです。

実際の場面での対応例

【場面1】夜中に「ママ、トイレ」と起きてくる場合

❌親の悪い対応: 「また?もう朝まで大丈夫でしょ。我慢しなさい」と、子どもに我慢を強いる

✅親の良い対応: 「そっか。トイレなんだね。では、一緒に行こうか」と、静かに対応し、子どもをトイレに連れていく

親のポイント

  • 子どもを責めない
  • 「これは発達過程」という親の認識を、態度で示す
  • 静かに、淡々と対応する

【場面2】子どもが「ごめんなさい。起こしちゃって」と謝る場合

❌親の悪い対応: 「本当だね。毎晩、本当に困ってるんだよ」と、親の気持ちを子どもにぶつける

✅親の良い対応: 「大丈夫。トイレに行きたいのは、ごく自然だよ。ママは、いつでもいるからね」と、子どもに安心感を与える

親のポイント

  • 子どもの謝罪を受け入れすぎない
  • 親の疲労を子どもに伝えない
  • 「子どもは何も悪くない」というメッセージを示す

【場面3】夜中のトイレが増えてきた場合

❌親の悪い対応: 「これがずっと続いたら、どうしよう」と、親が不安に陥る

✅親の良い対応: 「最近、増えたんだ。何か変わったことはあるのかな」と、原因を探り、必要に応じて医師に相談する

親のポイント

  • 夜中のトイレの「変化」に注目する
  • 子どものストレスの有無を確認する
  • 専門家に相談することも視野に入れる

【場面4】親が睡眠不足で疲弊している場合

❌親の悪い対応: 「頑張るしかない」と、一人で抱え込む

✅親の良い対応: 「親も疲弊している」と認め「夜間対応を夫に任せる日を作る」など、親の負担を減らす工夫をする

親のポイント

  • 親の睡眠不足は「深刻な問題」と認識する
  • 「親も休む権利がある」と理解する
  • 親だけで解決しようとしない

「夜中のトイレ」は、一時的な現象である

ここで大切な理解があります。

子どもの「夜中のトイレ」は「永遠に続く問題」ではなく「発達途上の、一時的な現象」です。

個人差があり「3歳で解決する子もいれば、8歳まで続く子もいる」という現実がありますが「最終的には、誰もが朝まで寝られるようになる」のです。

親がこの「一時性」を理解することで「今この瞬間の『大変さ』も、違う見方で受け止められる」ようになります。

療育現場での実例

ある母親は「子どもの夜中のトイレが続く」ことに「自分の育て方が悪いのか」と自責感を持ち、疲弊していました。

その母親が「これは発達過程で、親の責任ではない」と理解し、さらに「親も疲弊しているなら、対応を変えてもいい」と許可をもらうと「心が楽になった」と言うのです。

親が「心に余裕を持つようになった」ことで子どもに対する対応も優しくなり、結果として『親子関係が良くなった』という効果まで生まれました。

重要だったのは「親が『親自身を許す』」ことだったのだと思います。

親の「許容」が、親子関係を支える

夜中に何度も起きて「ママ、トイレ」と言う子どもに「親がどう対応するか」が「親子関係の質」を決めていきます。

親が「子どもを責めず、許容し、見守る」という姿勢を持つことで「子どもは『親に許されている』という感覚」を獲得するのです。

その感覚が「子どもの心の安定」につながり「やがて、自然と改善していく」という良い循環が生まれていくのだと思います。

親が「今この瞬間の大変さ」に向き合いながらも「これは一時的」という見通しを持つこと。親が「自分たちを許す」ことが「親子で一緒に、この時期を乗り越える」ための大切な力になるのではないでしょうか。

今日の夜も、どこかで「ママ、トイレ」という子どもの声が聞こえるでしょう。その時、親が「これは発達の一部」と思い出し「心に少しの余裕」を持つことで「この時間も、違う意味で大切な時間」に変わっていくのかもしれません。

療育コンサル 中山 のぞみ
D&I株式会社取締役兼療育センター長
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