“声のボリュームが調整できない…”——大声・ひそひそ声の裏にある感覚のズレとは?
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“声のボリュームが調整できない…”——大声・ひそひそ声の裏にある感覚のズレとは?

2025年9月17日 更新:2026年5月18日

声の大きさに悩む日常

「図書館で大声を出してしまう」
「公園で遊んでいると声が響きすぎて周囲がびっくりする」
「逆に声が小さすぎて、先生や友だちに聞こえない」

保護者の方から、こんな悩みを聞くことは少なくありません。

「どうして声の大きさをコントロールできないの?」
「注意してもなかなか直らない」

そう感じると、「しつけの問題なのかな」「他の子と違うのでは」と不安になることもあるでしょう。

実はこの「声のボリューム調整の難しさ」には、感覚のズレが関係していることが多いのです。この記事では、子どもが声を調整できない背景と、その寄り添い方を解説します。

第1章:声のボリューム調整はどう発達する?

自分の声を「聞いて調整する」力

声の大きさをコントロールするためには、自分の声を耳で聞き取り、「今は大きい」「今は小さい」と判断する必要があります。これは「聴覚フィードバック」と呼ばれる機能です。

発達の中で育つ力

  • 2〜3歳ごろ:大声・小声の違いに気づく
  • 4〜5歳ごろ:場面に応じて声を変える練習を始める
  • 小学校以降:本格的に「声の調整」が安定していく

つまり、4〜6歳くらいでまだ声の調整が難しいのは自然なことでもあります。

第2章:声の調整が難しい子どもの背景

聴覚の感覚特性

  • 過敏タイプ:自分の声が大きく聞こえるため、無意識に声を小さくしてしまう
  • 鈍麻タイプ:自分の声が小さく感じられるため、大声になってしまう

感覚統合の課題

自分の体や声の強さを把握する「感覚統合」の力が未発達な場合、声も力加減が効かなくなります。

注意や緊張の影響

緊張して声が小さくなったり、興奮して大声になったりすることもよくあります。これは感情のコントロールと声の調整がつながっているためです。

第3章:「わざと」ではないことを理解する

「静かにしてって言ってるのに、わざと大声を出す」
「聞こえないようにしてるのでは?」

そんなふうに感じる場面もあるかもしれません。けれども多くの場合、これは「わざと」ではなく「調整が難しい」だけです。

そのことを理解してあげるだけで、保護者の心の負担も軽くなります。

第4章:家庭でできる工夫

① 見える形でフィードバックする

声の大きさを「見える化」すると、子どもが理解しやすくなります。

  • 声の大きさをメーターで表したカードを使う
  • 大声=ライオンのマーク、小声=ネズミのマーク、普通の声=お話し声のマークにする

声かけ例

  • 「今の声はライオンさんだったね。ここはネズミさんの声にしよう」
  • 「お話し声でちょうどいいね!」

② 遊びの中で声を調整する練習

声の強弱を遊びに取り入れると、自然にトレーニングできます。

  • 「ささやきゲーム」:ひそひそ声で秘密を伝える
  • 「声でじゃんけん」:グーは大声、チョキは普通、パーは小声

声かけ例

  • 「ひそひそ声で“好きな色”言ってみよう」
  • 「今度は大声で“やっほー”!」

③ 環境を整える

静かな場所では大声が響きやすく、騒がしい場所では小声が届きにくいことがあります。環境に応じて声を調整する練習をしてみましょう。

声かけ例

  • 「図書館はお話し声にしようね」
  • 「公園では少し大きな声でいいよ」

④ 褒めることで「ちょうどいい声」を強化

声のボリュームがちょうどよかったときに、すかさず褒めて伝えましょう。

声かけ例

  • 「今の声、とても聞きやすかったよ!」
  • 「先生にもしっかり届いたね」

第5章:園や学校と連携する

声の調整が難しい子は、集団生活で目立ってしまうこともあります。先生にあらかじめ伝えておくことで、理解を得やすくなります。

  • 「声が大きくなりやすいので、静かな環境を意識していただけると助かります」
  • 「声を調整する練習中なので、ちょうどいい声のときに褒めてください」

家庭と園・学校が一貫した対応をすることで、子どもも安心して学べます。

第6章:支援を考えるタイミング

以下のような場合には、専門家に相談することも選択肢の一つです。

  • 声の調整が極端に難しく、日常生活に大きな支障がある
  • 感覚過敏や発達特性が強く影響していると感じる
  • 注意や感情のコントロールと合わせて困りごとがある

療育センターや発達相談窓口、小児科に相談すると、感覚面を評価した上で具体的な支援の方法を提案してもらえます。

最後に:声のボリュームも「育つ力」

声の大きさを調整する力は、大人でも場面によって難しいことがあります。まして幼児期の子どもにとっては、発達途中の力です。

  • 聴覚フィードバックや感覚の特性によって調整が難しいことがある
  • 「わざと」ではなく「できにくい」ことを理解する
  • 遊びや工夫で少しずつ練習できる

これらを踏まえると、「声が大きい」「小さすぎる」ことも、その子の発達の一部として受け止められるようになります。

子どもにとって「声を調整できた!」という小さな成功体験は、自己肯定感を高める大切な一歩です。今日も「ちょうどいい声」を一緒に探していきましょう。

療育コンサル 中山 のぞみ
D&I株式会社取締役兼療育センター長
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