ボールプールで感じる、安心と刺激。重症心身障害児・医療的ケア児の療育

ボールプールで感じる、安心と刺激。重症心身障害児・医療的ケア児の療育

2026年07月09日 更新:2026年07月09日

療育センターエコルドネクストでは、重症心身障害児や医療的ケア児のお子さんに合わせて、ボールプールを使った活動を取り入れています。ボールプールというと、元気に飛び込んだり全身で遊んだりするイメージがあるかもしれませんが、重症心身障害児・医療的ケア児への療育では、その子にとって安全で心地よい姿勢や刺激量を調整しながら行う感覚あそびとして活用しています。

 

ボールプールの良さは、全身にやわらかい圧が入ることです。たくさんのボールに体が包まれることで、皮膚への触覚刺激や、体の位置を感じる固有感覚への入力が得られます。身体の緊張が強いお子さんにとっては、安心できる圧刺激が入ることで力が少し抜けたり、表情がゆるんだりすることがあります。反対に刺激に敏感なお子さんには、ボールの量を減らしたり、足先だけ・手だけから触れるなど、無理のない方法で少しずつ経験できるようにしています。

 

また、ボールプールは姿勢づくりにも活用できます。仰向け、横向き、うつ伏せ、座位など、その子に合った姿勢を取りながらボールの感触を楽しむことで、体幹の安定や姿勢保持につながる経験になります。例えば、好きな色のボールを見つめたり、手を伸ばして触ったり、支援者と一緒にボールを転がしたりする中で、視線を向ける・手を動かす・体を少しひねるといった小さな動きが自然に生まれます。

 

医療的ケアが必要なお子さんの場合は、活動前後の体調確認や姿勢、呼吸のしやすさ、チューブ類の位置などにも十分配慮します。楽しい活動であっても、刺激が強すぎると疲れにつながることがあるため、表情・呼吸・筋緊張・眠気・不快サインなどを丁寧に見ながら、時間や刺激量を調整しています。「たくさん遊ぶ」ことよりも、安心して参加できたこと、心地よく感じられたことを大切にしています。

 

ボールプールは、コミュニケーションのきっかけにもなります。言葉で「楽しい」「もう一回」と伝えることが難しいお子さんでも、目線が向く、表情が変わる、手を伸ばす、体の力が抜けるなど、その子なりのサインがあります。支援者がその反応を受け取り、「この色が好きかな?」「もう少しやってみる?」と返していくことで、やりとりの経験が生まれます。

 

重症心身障害児・医療的ケア児の療育では、大きな動きや分かりやすい成果だけでなく、感じる・選ぶ・伝わるという小さな経験の積み重ねがとても大切です。ボールプールは、安心できる環境の中で感覚を楽しみ、身体の反応を引き出し、人との関わりを育てる活動として、これからも一人ひとりに合わせて取り入れていきたいと思います。