肢体不自由のあるお子さんのリハビリでは、「姿勢を保つ」「体を支える」「手を伸ばす」「重心を移す」など、日常生活につながる動きを少しずつ経験していくことが大切です。ただ、いわゆる“訓練”の形だけでは、子どもにとって緊張が強くなったり、受け身になってしまったりすることもあります。そこで活用しやすいのが、ボーネルンドのマルチファンクショントンネルのような大型遊具です。
マルチファンクショントンネルは、空気を入れて使用する大きなトンネル型の遊具で、トンネルとしてくぐるだけでなく、U字のくぼみに乗って揺れを楽しむなど、さまざまな使い方ができます。ボーネルンドの案内でも、3歳頃からを対象とした空気注入式の大型遊具で、360°回転や揺れ遊びができることが紹介されています。 また、ボーネルンドのあそび場紹介では、透明素材で周囲が見えやすく、閉塞感が少ないことや、揺れの中でバランスを取る体験ができることも紹介されています。
肢体不自由児への活用で期待できる大きなポイントは、楽しい揺れの中で姿勢反応を引き出せることです。たとえば、くぼみに座ったり寝転んだりしてゆっくり揺れると、体が左右・前後に傾きます。その時に、子どもは無意識に頭や体を戻そうとしたり、手をついて支えようとしたりします。これは、座位保持や体幹の安定、バランス反応につながる大切な経験です。「姿勢を保って」と言われて頑張るよりも、「揺れて楽しい!」という感覚の中で、自然に体を使えるのが魅力です。
また、トンネルとして使う場合は、くぐる・進む・方向を変えるといった動きが入ります。腹ばいで進む、肘で支える、手を前に出す、膝を引き寄せるなど、移動につながる運動要素が自然に含まれます。歩行が難しいお子さんでも、姿勢を変える経験や、上肢で体を支える経験を遊びの中で取り入れやすくなります。進む方向が見えることで「向こうまで行きたい」「先生のところまで行きたい」という目的も作りやすく、運動への意欲につながります。
さらに、マルチファンクショントンネルは感覚入力の面でも活用できます。揺れる感覚は前庭覚への刺激となり、体の位置や傾きを感じる経験になります。空気の入った遊具ならではの弾力は、体を預けた時の安心感や、接触した時の柔らかい感覚にもつながります。感覚刺激への反応はお子さんによって違うため、最初は小さな揺れから始め、「楽しい」「怖くない」と感じられる範囲で調整することが大切です。
リハビリで使う時は、ただ遊ぶだけでなく、目的を持って設定します。たとえば「座って5秒揺れを受ける」「手を伸ばしてカードを取る」「トンネルの出口で好きなおもちゃを選ぶ」「片側に体重をかけて戻る」など、子どもに合わせて課題を小さくします。成功しやすい形にすることで、「できた!」が増え、次の動きへの挑戦につながります。
肢体不自由児の支援では、“できない動き”を無理に練習するのではなく、できる姿勢・できる方法で、動く楽しさを経験することが大切です。マルチファンクショントンネルは、遊びの中で姿勢・体幹・バランス・上肢支持・感覚調整を引き出しやすい遊具です。子どもの体調や筋緊張、怖さの程度に合わせながら、「動くって楽しい」「もう一回やってみたい」と思えるリハビリにつなげていきたいですね。