光で感じる、伝わる。重症心身障害児と楽しむスヌーズレン
重症心身障害のあるお子さんへの療育では、「できる・できない」だけで活動を考えるのではなく、その子が心地よく感じられること、安心して反応できることを大切です。姿勢や運動、言葉での表現に難しさがあっても、光・音・触覚などの感覚刺激を通して、自分なりに感じたり、選んだり、周囲と関わったりすることができます。
その中で活用しやすい教材のひとつが、光のアートブロック「SHAKE SYNC(シェイクシンク)」です。ブロックを振ると光の色が変わり、ブロック同士を近づけると色が移っていくインタラクティブな教材で、強い操作が難しいお子さんでも、支援者が一緒に手を添えたり、目の前でゆっくり光を見せたりすることで参加しやすい活動になります。
シェイクシンクの特徴は、ただ明るく光るだけではなく、自然の炎のような“ゆらぎ”のある光を楽しめることです。重症心身障害児の中には、強すぎる刺激や急な変化が苦手なお子さんもいます。やわらかく変化する光は、過度な刺激になりにくく、安心して見つめたり、視線を向けたりしやすい感覚入力になります。これは、スヌーズレンの考え方ともとても相性が良いと感じています。
スヌーズレンとは、光・音・触覚・香りなどを使い、その子にとって心地よい感覚を楽しむ活動です。何かを達成させることよりも、リラックスできる環境の中で、本人の反応や興味を大切にします。シェイクシンクを使うことで、「この色が好きそう」「赤い光の時に表情が変わった」「ゆっくり近づけると視線が向いた」など、小さな反応に気づきやすくなります。
療育的には、まず視覚への働きかけが期待できます。光の変化を目で追う、色の変化に気づく、好きな色に視線を向けるといった経験は、注視や追視のきっかけになります。また、支援者が「青になったね」「きれいだね」と声を添えることで、感覚と言葉、表情、やりとりがつながっていきます。
さらに、シェイクシンクはコミュニケーションのきっかけにもなります。言葉で「これが好き」と伝えることが難しいお子さんでも、視線が向く、表情がゆるむ、手を伸ばす、体の力が抜けるなど、その子なりの反応があります。支援者がそのサインを受け取り、「これが好きなんだね」「もう一回見る?」と返していくことで、双方向のやりとりが生まれます。
また、手を添えて一緒に振る、ブロックに触れる、近づけて色を移すといった活動は、無理のない範囲で手や腕を使う経験にもなります。自分の動きによって光が変わる体験は、「自分が関わると変化が起きる」という因果関係の理解や、活動への意欲にもつながります。
重症心身障害児への療育では、大きな変化だけでなく、目線・表情・呼吸・身体の緊張の変化など、小さなサインを丁寧に受け取ることが大切です。シェイクシンクとスヌーズレンの活動は、その子の「好き」「心地よい」「もう少し見たい」を見つける時間にもなります。安心できる環境の中で、感覚を楽しみ、人とつながる経験を積み重ねていきたいと思います。