物を執拗に並べる。強すぎるこだわりとの向き合い方、どうする?
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物を執拗に並べる。強すぎるこだわりとの向き合い方、どうする?

2026年7月13日 更新:2026年7月13日

お子さまがおもちゃを大きい順に並べたり、色で分けて並べたり、一直線に並べたり、毎日同じ方法で物を並べることにこだわり続けており、並べる時間が非常に長く、他の活動ができないほど執拗に並べているというご相談をいただくことがあります。並べた物が少しでも動くと激怒したり、すぐにまた並び直し、その繰り返しが続き、並べる行動が止められず、生活全般に支障が出ているという状況が続いているという保護者の方、、、とても多くいらっしゃいます。

なぜそこまで物を並べることにこだわるのか、この行動がいつまで続くのか、このこだわりが強すぎることは発達障害の症状なのか、小学校に入ってからも続くのかという不安も大きいというお気持ち、本当によく分かります。

物を執拗に並べる、こだわりが強すぎるという状況は、発達障害のお子さま、特に自閉スペクトラム症のお子さまに非常に多く見られる特性ですが、適切な対応と段階的なアプローチによって少しずつ柔軟性は育っていきますので、焦らずに進めていくことが大切です。

物を並べることにこだわる理由

秩序と予測可能性への強いニーズ

自閉スペクトラム症の特性として、秩序が保たれていることに強い欲求があり、物が整列されていることで世界が予測可能で安定していると感じられるため、その秩序を保つために執拗に並べ続けます。

感覚的な満足感

物を並べる行為そのものが心地よく、同じ方法で繰り返すことで脳が満足感を得るため、その快感を求めて何度も繰り返し並べます。

不安の軽減

物が整列されていることで不安が軽減される、落ち着く、安心するという効果があり、その安心感を求めて並べ続けています。

こだわりの強さ

特定のやり方、順序、方法へのこだわりが非常に強く、その正確なやり方で並べられないと許せず、何度も何度も並び直し、完璧になるまで続けます。

感覚統合の観点

色、形、大きさなどを整理して認知する感覚統合の過程として、物を分類して並べることで、感覚情報を整理しようとしています。

コミュニケーション困難

言葉で自分の気持ちを表現することが困難で、物を並べることで自分の内面的なニーズを表現しようとしており、行動による表現になっています。

自己調整行動

ストレスや不安を感じた時に、物を並べることで自分を落ち着かせ、神経系を調整しようとしており、自己調整のメカニズムとして機能しています。

完璧主義

不完全な状態が許せず、完璧に並べられるまで続け、少しのズレも気になり、それを直さずにいられないという完璧主義的な特性から来ています。

家庭でできる物を並べるこだわりへの対応

こだわりを制限するのではなく時間を決める

物を並べることを完全に禁止するのではなく、並べる時間を決めることで、1日15分だけ並べる時間を作ると約束することで、その時間は自由に並べさせ、その他の時間は別の活動をします。

並べる物の量を減らす

物が少なければ並べる時間が短縮されるため、並べるおもちゃの数を制限し、特に執拗に並べるおもちゃの数を減らすことで、自然と並べる時間が減ります。

こだわりの時間帯を決める

毎日同じ時間帯にこだわりの行動を許可することで、朝起きた後15分は並べてもいいというルーティンを作ることで、本人の予測可能性も増し、その他の時間との区別がつきます。

こだわり行動の観察をする

物を並べる時にどんな気持ちなのか、どんな時に増えるのか、パターンを観察することで、不安が増したら並べるなど、根底にあるストレスが分かると対応しやすくなります。

こだわりを活かす活動を提供する

物を並べるというこだわりを否定するのではなく、整列が得意な能力として活かす活動を提供することで、整理整頓を手伝う、ビーズを並べる、ブロックを並べるなど、建設的な使い方ができます。

タイマーで時間を可視化する

並べる時間をタイマーで決めることで、このタイマーが鳴ったら終わりだよと目で見えるようにすると、見通しが持て、時間になったら納得して終わりやすくなります。

こだわりを受け入れる姿勢を見せる

物を並べることが悪いことではなく、その子の特性だと受け入れることで、親が否定的な態度を示さないと、本人も自分のこだわりを受け入れやすくなります。

柔軟性を段階的に練習する

いきなり並べ方を変えるのではなく、まずいつもの方法で並べさせ、その後少しだけ別の方法も試してみようかと段階的に柔軟性を促すことで、無理なく新しい方法に慣れさせます。

こだわり行動を褒める

物を正確に並べられた、きれいに整理できたという行動を褒めることで、こだわりの良い側面を認め、本人の自信につながります。

こだわり行動がなくても大丈夫な経験をさせる

時々物を並べずに別の活動をしてみるなど、こだわりなしでも大丈夫だという経験をさせることで、こだわりなしでも不安ではないと気づき始めます。

ストレスが増したら対応する

物を並べるこだわりが急に増えた場合は、ストレスが増している可能性があるため、生活の中で何が起きているのか観察し、ストレス源に対応することで、こだわりが軽減されることがあります。

別の活動に興味を持たせる

物を並べること以外に楽しいことを作ることで、並べることだけが楽しみではなく、他にも楽しいことがあると分かると、こだわりへの執着が少し緩和されます。

こだわりを表現する場を認める

物を並べたい気持ちを完全に否定するのではなく、その気持ちは分かるよと受け入れながらも、時間や場所の制限をすることで、感情は受け入れつつ行動は制限するというアプローチができます。

柔軟性が育つ活動を作る

美術制作、音楽、運動など、決められたやり方がない活動をさせることで、自分で創意工夫する経験が増え、柔軟性が少しずつ育ちます。

視覚支援で構造化する

並べる時間と別の活動の時間を視覚的に示すスケジュール表を作ることで、これは並べる時間、これは遊ぶ時間という構造化された見通しがあると、活動の転換がしやすくなります。

親自身の完璧主義を見直す

親が完璧主義で秩序に強くこだわっていると、子どもも同じこだわりを学習するため、親自身が少し柔軟になり、完璧でなくても大丈夫という姿勢を見せることが大切です。

感情を言葉で表現する練習

並べたい気持ち、不安な気持ち、落ち着きたい気持ちなど、物を並べることで表現されている感情を言葉で表現する練習をさせることで、行動ではなく言葉で気持ちが伝わるようになります。

無理強いしない

どうしてもこだわりが強い時は無理強いせず、その日は並べさせるという柔軟な判断も大切で、無理にやめさせるとストレスが増し、こだわりがさらに強くなる可能性があります。

長期的視点を持つ

こだわりの改善には時間がかかるので、焦らず気長に見守ることで、今完全になくなることはなくても、小学校以降は自然と減ることが多いです。

専門家に相談するタイミング

こだわりが極度で生活に支障が出ている時

物を並べることが1時間以上続く、その他の活動ができない、睡眠や食事に支障が出ている場合は、こだわりのコントロール支援が必要です。

こだわりが複数あり生活全般に影響している時

物を並べるこだわり以外にも多くのこだわりがあり、生活全般が制限されている場合は、自閉スペクトラム症の総合的な支援が必要です。

こだわりが強化されている時

こだわりが時間とともに強くなっている、より複雑になっているという変化が見られる場合は、専門家に相談して、対応方法をアドバイスしてもらうことが大切です。

親自身が対応に疲弊している時

毎日のこだわり行動に付き合い続けて疲れ果てている場合は、親のメンタルケアとサポート方法の学習が必要です。

こだわりは変えられる

物を執拗に並べる、こだわりが強すぎるというお悩み、、、毎日同じ行動の繰り返しに付き合い続けて疲れ果ててしまうお気持ち、よく分かります。

でも、知っておいていただきたいのは、こだわりは変えられるということです。今は極度のこだわりがあっても、適切な対応と環境の工夫によって、少しずつ柔軟性は育っていきます。

大切なのは、こだわりを完全に禁止しないこと、時間を決めることで、物の量を減らすことです。そして何より、こだわりを受け入れながらも行動は制限すること、柔軟性を段階的に練習することです。

こだわりが柔軟になると、活動の幅が広がり、新しい経験ができるようになり、学校生活がスムーズになり、人間関係も築きやすくなります。

焦らないでください。少しずつ、柔軟性を育てていきましょう。今日は並べた後に別の活動をした、明日は違う並べ方を試した、来週は並べない時間を過ごせた。必ず進歩します。その可能性を信じて、今日からこだわりとの向き合い方を工夫してみましょう。

こだわりはお子さまの個性です。完全になくすのではなく、上手に付き合う方法を見つけることが大切です。お子さまの特性に寄り添い、温かく見守りながら、一緒にこだわりとの関係を整えていきましょう。

療育コンサル 中山 のぞみ
D&I株式会社取締役兼療育センター長
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