指示が通らない。親の言葉を聞かない子、どう対応する?
お子さまに何度指示を出してもその言葉が全く届かず、聞こえているのかさえ分からない。。。何度も同じことを言い続けても全く反応せず、結局保護者が全部やらなければいけなくなるというご相談をいただくことがあります。学校の先生からも指示が通りにくいと指摘されており、教室でも先生の話を聞いていないのか、指示が理解できていないのか分からず、学校生活に支障が出ているという状況が続いているという保護者の方が、とても多くいらっしゃいます。
なぜ指示が通らないのか、聞く力がないのか、親の言葉に価値がないのか、このまま親の言葉を聞かないままで学校に上がれるのか、小学校でやっていけるのかという不安も大きいというお気持ち、本当によく分かります。
指示が通らない、親の言葉を聞かないという状況は、発達障害のお子さまに非常に多く見られる困難ですが、適切な指示の出し方と環境調整によって少しずつ改善していきますので、焦らずに進めていくことが大切です。
指示が通らない理由
聞く能力の発達遅滞
聞く能力が年齢相応に発達していないため、親の言葉を聞き取ることができず、情報が脳に入ってこないため、指示が通りません。
注意が向いていない
親が指示を出している時に別のことに注意が向いており、目や耳が他の刺激に向いていて、親の言葉に注意が向かず、聞いていない状態になっています。
言葉を理解できない
発達障害のお子さまの言語理解が遅れており、親の言葉の意味が理解できず、何をするのか分からないため、指示が通ったように見えません。
指示が複雑すぎる
ブロック三つ持ってきて、片付けて、靴を脱いでなど、複数の指示を同時に出すと、処理できず、最初の指示だけしか聞こえない状態になります。
記憶能力の困難
親の言葉は聞こえたけれど、それを覚えられず、指示を忘れてしまい、何をするのか分からなくなり、指示が通ったように見えません。
実行機能の困難
指示を理解しても、それを計画して実行するという実行機能が困難で、何をするのか分かっても、どうやって実行するのか分からず、進められません。
親の権威性が薄い
親の言葉に従う必要性が分からず、親の指示には価値がないと思い込んでおり、自分の欲求の方が優先されるため、指示を無視します。
聴覚過敏
聴覚が過敏で、親の声が大きく聞こえて不快に感じたり、周りの音が気になって親の言葉が聞き取れなかったりして、指示が通りません。
家庭でできる指示が通るようにする工夫
お子さまの注意を引いてから指示を出す
親の言葉が届いていないので、まず目と耳を親に向けるために、名前を呼ぶ、肩を叩くなど、アイコンタクトを取ってから指示を出すことで、言葉が届きやすくなります。
指示を短く、シンプルにする
複数の指示を出すのではなく、一つずつ短く、シンプルな指示を出すことで、言葉が理解しやすくなり、実行しやすくなります。
視覚的に指示を示す
言葉だけでなく、指差したり、ジェスチャーをしたり、絵カードを見せたりしながら指示を出すことで、視覚的に理解が深まり、指示が通りやすくなります。
具体的な指示を出す
片付けてではなく、おもちゃを箱に入れてというように、具体的に何をするのか示すことで、理解しやすく、実行しやすくなります。
指示の理由を簡潔に説明する
なぜその指示を出すのか、簡潔に理由を説明することで、理解が深まり、納得して指示に従いやすくなります。
指示の後に確認する
指示を出した後に、今何をするのか、お子さまに繰り返させることで、指示が理解できているか確認でき、理解できていなければ再度説明できます。
落ち着いた環境で指示を出す
周りの音や刺激が多い時は、指示が通りにくいため、可能な限り静かで落ち着いた環境で指示を出すことで、注意が集中しやすくなります。
親自身が落ち着いて指示を出す
親が怒ったり、イライラしながら指示を出すと、その感情がお子さまに伝わり、指示を聞きたくなくなるため、親は冷静に、落ち着いた声で指示を出すことが大切です。
段階的に指示を実行させる
最初は指示を聞いて確認するだけ、次は一つの指示を実行する、というように段階的に進めることで、少しずつ指示に従う習慣が付きます。
指示に従えた時を褒める
指示に従えたら、その直後に褒めることで、親の指示に従うことが良いことだと学習し、次も従いやすくなります。
親と別の大人からも同じ指示を出す
親だけが指示を出すのではなく、祖父母や先生など、別の大人からも同じ形で指示が出されることで、指示に従うことが当たり前だと認識します。
タイマーで時間を示しながら指示を出す
5分で片付けてというように、タイマーで時間を見える形で示しながら指示を出すことで、指示の期限が分かり、実行しやすくなります。
指示を聞かない時の後追い指導
指示が通らない時に、すぐに叱るのではなく、一緒にやってみることで、指示の意味が理解でき、次はできるようになります。
親の指示権を確立する
日々の小さな指示から始めて、親の指示に従うのが当たり前という環境を作ることで、大事な時の指示も聞きやすくなります。
選択肢を与える指示に変える
今すぐやってではなく、今やるか、5分後にやるか選んでというように、選択肢を与えることで、自分で決める感覚があり、従いやすくなります。
聴覚過敏がないか確認する
指示が通らない理由に聴覚過敏がないか確認し、ある場合は静かな環境で指示を出すなど、環境を工夫することで、指示が通りやすくなります。
言語理解の発達段階を把握する
言語理解がどの段階なのか、医学的に評価してもらい、その段階に合わせた指示の出し方をすることで、指示が通りやすくなります。
学校との連携
学校で指示が通りにくい場合は、学校の先生に家庭での指示の出し方を伝え、学校でも同じアプローチをしてもらうことで、一貫性が生まれ、指示が通りやすくなります。
指示を文字で示す
言葉だけでなく、指示を文字で示すことで、視覚的に理解が深まり、何度も確認できるため、指示が通りやすくなります。
専門家に相談するタイミング
言語理解が極度に遅れている時
指示が通らない原因に言語理解の著しい遅滞があると思われる場合は、言語聴覚士の評価と支援が必要です。
聴覚に問題がないか確認したい時
指示が通らない原因に聴覚に問題がないか確認するために、小児耳鼻科での診察が有効です。
学校生活に大きな支障が出ている時
学校で指示が通らず、学習に支障が出ている、友達関係が悪くなっている場合は、学校との連携を含めた支援が必要です。
親自身が対応に疲弊している時
毎日何度も同じ指示を出し続けることに疲れ、親がストレスを感じている場合は、親のメンタルケアと対応方法の学習が必要です。
指示が通るようになる日は必ず来る
指示が通らない、親の言葉を聞かないというお悩み、、、何度も同じ指示を出し続け、疲れ果ててしまうお気持ち、よく分かります。
でも、知っておいていただきたいのは、指示が通るようになる日は必ず来るということです。今は指示が通らなくても、適切な対応と環境調整によって、少しずつ改善していきます。
大切なのは、お子さまの注意を引いてから指示を出すこと、指示を短くシンプルにすることで、視覚的に示すことです。そして何より、指示に従えた時を褒めることで、親が落ち着いていることです。
指示が通るようになると、学校生活がスムーズになり、親の言葉が届くようになり、親子関係も改善され、お子さま自身の自立も進みます。
焦らないでください。少しずつ、指示が通る力を育てていきましょう。今日はお子さまの注意を引いて指示が通った、明日は短い指示が理解できた、来週は指示に従えた。必ず進歩します。その可能性を信じて、今日から指示の出し方を工夫してみましょう。
指示が通ることは親子関係の基礎です。お子さまの発達段階に合わせた指示の出し方を工夫しながら、温かく見守りながら、一緒に指示が通る力を育てていきましょう。