『どこがへん?』で伸びる“気づく・比べる・伝える”力

『どこがへん?』で伸びる“気づく・比べる・伝える”力

2026年05月20日 更新:2026年05月25日

SSTやことばの時間の個別・小集団プログラムで活躍しているのが、合同出版の『伝える力がぐんぐんのびるカード どこがへん?』です。

遊び方はとてもシンプル。3枚のカードの中から「ちょっとへん」な1枚を見つけて、どこが変かを伝えるだけ。思わずクスッとする題材が多く、「伝えたい!」という気持ちが自然に引き出されるのが魅力です。


療育的な効果としてまず大きいのは、見る力(注目・探索・見比べ)です。3枚を見比べて“違和感”を探すため、視線を必要な場所に向け続けたり、細部の違いに気づいたりする練習になります。見比べの経験は、学習場面の「見落としを減らす」「条件に合うものを探す」力にもつながりやすい印象です。


次に、語彙力と表現力。「ものの名前、動作のことばなどの語彙」「文を組み立てる力」を育むところが実感しやすいポイントです。
最初は「これ!」「へん!」の指さしだけでもOK。そこから支援者が「どこがへん?」「なにが違う?」と問いかけ、子どもの発話を少しずつ広げます。例えば、

単語:「くつ!」
2語:「くつ ちがう」
文:「この子だけ くつが ちがう」
というように、段階的に“ことばの長さ”を伸ばせます。助詞や接続詞(「だけ」「だから」「でも」など)を入れる練習にもなり、会話としてのまとまりが作りやすくなります。


さらに、このカードは社会性や季節の知識といった“背景理解”にも触れられる教材です。場面の意味が分からない子には、そこで会話を止めずに「これは冬の服だね」「これは順番だね」と補足しながら、世界の知識を増やすきっかけにできます。知識が増えるほど「変だと気づける」範囲も広がり、やりとりも豊かになっていきます。


使い方のコツは、“正解当て”にしすぎないこと。「へん」を見つける視点は子どもによって違い、そこが面白さでもあります。
正解にたどり着くまでの過程で、観察→仮説→説明を繰り返せると、考える力(推理・想像)も育ちます。

また、言葉が出にくい子には「写真(または選択肢)で選ぶ」「指さしで示す」など、本人に合う表現方法を用意すると成功体験が作りやすいです。成功が積み重なると、次第に「言ってみようかな」が増えていきます。


“見て気づく”ことはできても、“言って伝える”が難しい子は多いです。だからこそ、『どこがへん?』は、楽しい枠組みの中で「気づいたことを言葉にして相手に届ける」練習ができる教材。日々のSSTに取り入れながら、子どもたちの“伝える力”を少しずつ育てていきたいと思っています♪